ドイツ政府は、EUの厳格な財政ルールに抵触しない「影の予算」を作り出して、国内経済のテコ入れを考えているようだ。具体的には、政府とは別に「公共団体」を設立し、ここが債務を引き受ける形で資金を集め、公共投資に充当するというものだ。
ここから先の具体的なイメージがわからないから、評論はしにくいのだが、自分の中には2つの矛盾するような考えが浮かんだ。
1つは、厳粛な財政規律を徹底的に重視してきたドイツが、それを自ら破ってきたということへの素直な評価だ。EUの厳格な財政ルールを主導してきたのはドイツだということを考えると、このことは現在の厳しい財政ルールをEUが緩める方向に間違いなくつながっていくだろう。
ドイツ経済の低迷は中国の景気減速の影響も強く受けているが、厳粛な財政規律のために景気刺激策が打てずに低迷しているヨーロッパ経済の影響もモロに受けている。ヨーロッパ経済が力強さを持つには、こうした不要な財政ルールは撤廃されるべきであり、そこに近づいたことは大いに評価したい。
と同時に、ならばドイツは財政規律を緩めようとするイタリアなどの動きを厳しく牽制するような真似はやめるべきではないのかとも思うのだ。
イタリアは足りない財政を賄うための裏技として、小口の政府証券を発行することを企図した。イタリアで流通する紙幣はヨーロッパ中央銀行が発行するユーロ紙幣ということになるが、ここに小口の政府証券も付け加えようと考えた。財布の中に、ヨーロッパ中央銀行が発行するユーロ紙幣と、イタリア政府が発行するユーロの政府証券の両方があるような感じだ。
政府証券が民間で流通している限りは、政府はそのお金の返済義務から免れるから、財政出動をしても政府財政は痛まないという仕組みだが、これに徹底的に噛みついたのがドイツだ。イタリアはドイツに対して、「お前らが裏技を使うのを検討しているなら、俺たちが裏技を使うのも認めろよ」と思うのは当然だろう。
ともかく、財政規律を緩めて積極財政に依拠できるようにしないと、現状姿を見せつつある世界的な経済危機に対処するのは難しいだろう。そのための第一歩として、私としては前向きに評価することにしたい。
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