今回の記事は「平野正幸」さんの寄稿記事です。論拠がしっかりしていて、一方的な決めつけがなく、反対意見の人たちを罵倒するようなものでないといった基準に合致していれば、寄稿記事も歓迎しています。ぜひお読みください。
技能実習制度に対する根強いネガティブな意見として、「実習生は低賃金だ」との指摘がある。
確かに、実習生の多くは(特に1年目の実習生)は最低賃金ベースであることが多い。しかし、実習生に対しては、おそらく読者の方がご存じないであろう好待遇も存在する。
本稿では実習生のおカネ事情について解説したい。読者の方々の技能実習制度の実情理解に一役買うことができれば幸甚である。
【給与】
実習生の給与額の統計は、厚労省が発表している「賃金構造基本統計調査」で確認することができる。
令和3年5月21日付のデータによると、
▶基本給の平均:16万1,700円
▶残業代などを含めた総支給額の平均:18万8,300円
▶ボーナスの平均:4万5,800円
であった。
仮に年間の所定労働時間が2,080時間(注1)だとすると、1時間あたりの給与は932円(注2)となる。年収にすると約230万円であるため、数字だけを見れば低単価・低賃金と言えるだろう。
ただ、国税庁の統計によると、令和元年度の非正規雇用の日本人の平均給与は174万6,000円とのことである。実習生の賃金引き上げももちろん大切だが、個人的には非正規雇用の方々の処遇改善に声を上げてもらいたい。
*注1:一般に、年間の所定労働時間の最大値が2,080時間とされている。
*注2;計算式は、毎月の総支給18万8,300円×12カ月÷2,080時間。
【家賃】
実習生の家賃については、あまり知られてないのではないかと思う。
法令上は、実費を超えない範囲での給与控除が容認されている。例えば、家賃6万円のアパートに実習生2人が入居する場合、3万円を天引きできる。
しかし、上限の3万円を天引きする会社は稀だ。家賃については相場ができあがっており、1万5,000円〜2万円に設定している会社が大半である。仮に家賃3万円で求人を出すと、外国側の送出機関(仲介企業)が家賃の引き下げを要望してくるし、応募者もかなり少なくなる。
以上より、実習生の家賃は高くても2万円程度なのである。しかも、敷金・礼金は必ず受入会社の負担、火災保険料などの細々とした費用も原則として受入会社の負担である。
非正規雇用の方が一人暮らしすることを考えると、実習生はかなり優遇されていると言えるのではないだろうか。
【実習生専用の保険】
もう一つ、実習生への手厚いサポートが実習生専用の保険である。この保険の特長は、通院時の窓口負担額がそのまま保険金として還付されるという点だ。
実習生は日本人従業員と同様に社会保険に加入することが普通で、通院した場合は自己負担額として医療費の3割を支払う。この金額を保険金請求することで、後日口座振込されるのである。
さらに、この保険の保険料は3年間でたった25,000円でいいのだ。しかも、ほとんどの場合は受入会社が負担する。実習生は無償で手厚い保険の恩恵に与れるのである。
韓国や中東へ出稼ぎに行ったとき、このような待遇が得られるだろうか。
【終わりに】
実習生に関しては、0.数%の”カワイソウ”な少数事例のみが報道され、実習生・受入企業ともにWIN-WINの関係になっている事例や、何事もなく3年の実習を終えた事例は人目に触れることはない。
もちろん人権侵害は言語道断だが、個別事例に焦点を当て過ぎると全体像を見誤ることになる。
本稿をお読み頂けるような技能実習制度に関心の高い方々には、是非とも広い視座から批判すべきところを批判していただきたい。そして、まずは日本人の収入が向上するように力を注いでいただきたい。それが実習生の賃金上昇にも繋がることは間違いない。
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賃金構造基本統計調査
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450091&tstat=000001011429
国税庁「民間給与実態統計調査結果」
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/minkan.htm
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