超リベラル派として知られた、アメリカ最高裁判所のギンズバーグ判事の死去を受けて、トランプ大統領は連邦控訴裁判所のバレット判事を指名する方針を固めたようだ。
バレット判事はカトリックで、人工妊娠中絶やオバマケアに反対の立場を取り、宗教保守派として強い影響力を持つキリスト教福音派とも考え方が近い。
これに対して民主党は、11月に行われる大統領選挙で勝利した大統領が次期最高裁判事を指名すべきであるとして、大反発している。
ところでトランプ大統領によるバレット判事の指名は、アメリカ大統領選挙の流れを劇的に変えることになる。
バレット判事は48歳で、アメリカ最高裁判所の判事は終身の身分保証がされているので、彼女が順当に選出されれば、この先30〜40年間保守的な価値観を守る砦となることが期待できる。
現在の最高裁判事は、保守派が4、リベラル派が3、中間派が1という構成になっているが、バレット判事がこのまま選ばれることになれば、保守派が5、リベラル派が3、中間派が1となり、保守派は常に最高裁判所の多数派を形成することになる。
現在アメリカでは、個人主義の行き過ぎによって、家族制度の解体や性の解放をよしとするようなリベラル的な価値観が広がっている。
こうした動きに対して危機感を抱いている人々には、この選出がうまくいくかどうかは非常に大きな関心事となっているわけだ。
これまでは共和党の中にも、トランプ嫌いでバイデン氏を推す動きもあったが、これを急激に変えてしまった。
共和党に属しながらも反トランプを貫いてきたロムニー上院議員も、保守派の判事の指名には賛成の立場を示している。
民主党側は大統領選挙前の新判事選出の動きへの徹底抗戦を訴え、中にはトランプ大統領を再度弾劾にかけるという案まで飛び出している。
新判事は大統領の指名の後に上院の承認が必要になるが、弾劾の審理が始まればこちらの方が優先されるために、新判事の承認ができなくなるためだ。
だが、こんなことを行えば、ますます保守派の分裂が解消される力になるので、大統領選挙に与える影響を考えると却って逆効果になるだろう。
また、大統領の選挙争点にも大きな変化を生み出した。
トランプ政権のコロナ対応については、初動が遅れたことなど、政権の失策と言えるものもあり、この責任追及は大統領の選挙の1つの論点とされていた。
だが、この最高裁判事をめぐる対立が沸き起こってからは、こちらの方が関心の中心となり、コロナ対応に対する関心は急激に薄れてしまったのだ。
選挙直前になって、トランプ大統領には追い風が吹いてきているようだ。
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BBCからの引用画像(バレット判事)
https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/15F54/production/_114504998_9d4fb16a-48f5-4a0c-a4b9-c09efcc63bd0.jpg
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