習近平が中国共産党の次期総書記になることが内定してから、ジョー・バイデンは習近平に急接近したことで知られる。2011年の年初からの1年半で、習近平とバイデンは8回会い、通訳だけの同席で25時間一緒に過ごし、プライベートな食事もともにしていた。2012年の2月にバイデンは北京で「米中起業家シンポジウム」を開催し、習近平はバイデンに中国の「万向グループ」の鲁冠球を紹介した。
この「万向グループ」は2013年の1月に、リチウムイオン電池の開発企業である「A123システムズ」の買収に成功した。「A123システムズ」は空軍用のバッテリー開発にも携わっていたが、経営状態は芳しくなかった。
この買収には議会の反対が強く、一旦は断念に追い込まれていた。先端技術であるバッテリー技術を持つ企業、しかも空軍用のバッテリー開発まで手掛けている企業を外国に売るというのは、安全保障上の懸念が大きい。だが、その後「万向グループ」はなぜか「米国外国投資委員会」(CFIUS)の審査に合格し、軍事契約を除くとされたものの、「A123システムズ」を2億5660万ドルで取得したのである。
さて、この「A123システムズ」のバッテリーを利用してプラグインハイブリッド車の生産に乗り出していた企業に「フィスカー」という会社がある。この「フィスカー」は目立った実績のある会社ではなく、ブッシュ政権の時には政府から何らの補助も受けられたことはなかった。だが、2009年にオバマ政権になってからは、米エネルギー省の「先端技術車製造ローンプログラム」(ATVM)に採用されて、約5億2900万ドルという巨額の融資を受けている。
実はこの採用には当時のバイデン副大統領が絡んでいるのは公然の秘密だ。というのは、この融資を受けて「フィスカー」が工場用地としたのは、デラウェア州ウィルミントンだからである。ここはバイデン副大統領の出身地で、バイデン家の「裏庭」とも呼ばれるところであり、工場の誘致は地元の雇用に大いに貢献する。
ただ「フィスカー」は壮絶な失敗に終わり、破産に追い込まれた。鳴り物入りで呼び込んだ企業がすぐさま破綻したのでは、バイデンの面目としては痛いところだ。この際の助け舟となったのが、「A123システムズ」の買収も行った「万向グループ」だった。「万向グループ」は1億5000万ドルという破格の金額を提示して、この「フィスカー」の買収も行ったのである。
バイデンには中国に対して、特に習近平に対しては、こうした恩義がいろいろとある。様々な弱みも握られている。それゆえに、中国に対して強く出ることは期待できない。
バイデンが次期大統領になった場合には、中国との対峙で正面に位置する日本や台湾には大きな障害になることは間違いないだろう。
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xinhuanetからの引用画像(鲁冠球)
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xinhuanetからの引用画像(習近平とジョー・バイデン)
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