アメリカのファイザーとドイツのビオンテックが共同開発したワクチンについて、ワクチン接種をすると南アフリカ変異株が8倍感染しやすくなるとの研究論文が出たということが、一部の人たちの間で騒がれている。この件に関する私の考えを述べてみたい。
私がもと左翼であったことを知っている人もいると思うが、私の判断にはこの時の反省も大きく影響していることをあらかじめ述べておく。
言っている意味がわからない人が大半だと思うが、自分が左翼であった時には、政府や企業は都合の悪い情報をできる限り隠すものだという先入観があった。だから、世間にあまり流布していない情報を見つけては、他の人が知らない情報を入手したことでの特別感に自分は浸っていた。
企業は自己利益のために情報操作を行い、政治家は企業から献金をもらうことで企業に便宜を図り、国民の命と安全はその犠牲にされている。その中で勇気ある一部の人たちが企業を告発する活動を行っている。この勇気ある一部の人たちの情報こそ本当に価値あるものだと、当時は考えていたのである。
だがそうやって飛びついた情報の中に、本当の話がどれほどあったのかと振り返ると、実はかなり怪しい。「危険だ!危険だ!」と煽ることで人々に不安と恐怖を植え付け、巨悪に立ち向かう正義の味方のような立ち位置に立つというスタイルに騙されてきたのではないかとの思いを自分は持っている。
例えば、「山崎パンは危険だ」といった話を聞いたことのある人も多いだろう。「山崎パンは危険だ」にはいろんなパターンがあるが、例えば、山崎パンは添加物や防腐剤のかたまりで、それによって腐らないようにしているから、絶対に食べてはいけないという話を聞いたことのある人は多いだろう。今でも信じている人はかなりの数を占めるのではないだろうか。
確かに購入してきた山崎パンの製品をそのまま何週間も放置しておいてもパンは腐らないから、一見するとこの主張は正しそうに思える。だが、それは防腐剤が強力だからではなく、製造過程で菌が入り込まないからだというのが事実である。山崎パンの衛生環境は我々の日常の常識を遥かに超えて高く、毎日掃除をしてキッチンをピカピカに磨いているご家庭などとは、比べ物にならないレベルに達しているのである。まさにほぼ無菌状態の中でパンが作られている。そしてその状態で袋詰めされ、外部からの菌が入り込む余地がない。だから腐らないのだ。
山崎パンが腐らない理由はその無菌性にあるのが実際だから、買ってきたパンの袋を破って外気が普通に入り込める状態にすれば、日数はかかるが、山崎パンにカビだって生えることになる。自分でこういう実験を行ってみて、山崎パンが腐らない理由を確かめてみると、逆に山崎パンが可哀想に思うようになった。真面目な企業努力を行って、食品衛生の観点で常識では考えられないレベルにまで高めた。なのにその正しい姿を伝えずに、あたかも山崎パンが悪徳企業であるかのように訴えて、自分がそれに対する正義の味方のように振る舞うことをビジネスにしている人たちがいる。自分はこういうクソ野郎の味方をしてきたのかと思うと、愕然とした。
こういう感じで煽られているものは、山崎パンに限らず世の中にはたくさんある。そういうものが実際どうなのかと検証してみると、ほとんどが間違っていることに気付かざるをえなかった。この経験は自分には相当にショックだった。
だから私は、「社会の隠れた恥部を告発する」的な話には、自然と警戒心を持つようになっている。もちろん中にはとんでもない話もあったりするのは事実だが、その割合は世間が普通に思っているのと比べると圧倒的に小さいというのが自分の見立てである。
さて、前置きが長くなったが、ファイザーとビオンテックのワクチンの話に戻ろう。
ワクチン接種をすると南アフリカ変異株が8倍感染しやすくなるとの「研究結果」が一部で話題になっているが、これとは全く異なる見解を両社は発表している。南アフリカ変異株に対して、両社の研究では100%の防御が行われているというのだ。
かつての左翼脳の私であれば、企業の言うことを信じるなんてバカじゃないか、それを真っ向から否定する研究成果を発表している報告にこそ真実が宿っているに決まっていると考えたであろう。
だが、こんなところでニセの報告を行ったところで、南アフリカ変異株が蔓延したらそのウソはたちどころにバレてしまう。それは企業に対する信頼を失墜させ、企業をぶっ壊すことにつながりかねない。そんな愚かな発表をするのだろうか。この観点も持つようにしてもらいたい。
ファイザーとビオンテックが正しいのか、これに反対する研究論文が正しいのか、どうすれば検証できるだろうか。このためには、ファイザーとビオンテックのワクチンの接種がかなり行き渡っているイスラエルでどういう現実が発生しているかを見ればよいだろう。
4月23日の日経新聞の報道によると、イスラエルでは55.2%の人が2回接種を終えたとされている。モデルナのワクチンも接種しているから、ファイザーとビオンテックのものばかりということではないが、参考にはなるだろう。
イスラエルの人口は900万人程度だが、1月27日には1日で11934人の新規感染者が出ていた。これは日本の人口で考えると、1日で16万人以上の新規感染者が記録されたことを意味する。それが最新の新規感染者数では1日で22人にまで減っている。新規の死者数は1月20日に86人に達していたが、4月23日と24日は連続して0人である。
イスラエルで南アフリカ変異株を確認したことを発表したのは1月9日のことであり、イスラエル国民の中に南アフリカ変異株は普通に広まっていると思われる。とすれば、南アフリカ変異株に対してファイザーとビオンテックのワクチンは十分な有効性があることがすでに実証されていると見ることができる。
では安全性はどうなのだろうか。2月段階なのでやや古い情報になるが、イスラエル政府の報告では、1回目接種で副反応があったのは0.24%、2回目接種で0.26%である。副反応の定義がかなり絞られている印象はあるが、大きな危険性はないことが確認できる。入院を必要とする重度の副反応は1回目接種で0.0006%、2回目で0.0002%である。その後も特に副反応の反応率が高まったという報道はないので、現段階でも恐らくは大きな変化はないのであろう。ワクチン接種による死亡報告はない。
以前のブログ記事でも書いた話だが、アメリカのCDCの「ワクチン有害事象報告システム」(VAERS)のデータを勘違いしている人も多い。同システムに報告されている「ワクチン接種後に死亡」は、単純に時系列で並べただけの話で、これを「ワクチン接種の副反応として死亡」として受け取るのは完全に間違っている。
ワクチンを接種した後に死亡したすべての例をもれなく取り上げて、その1件1件についてワクチン接種との関連性を考察するということを行っているのである。アメリカでは高齢者を中心としたワクチン接種が進められてきたので、高齢者がワクチン接種後にぜんぜん違う原因で寿命を迎えるケースは当然多い。したがってVAERSの「ワクチン接種後に死亡」の数字の独り歩きに騙されてはならない。
だからCDC(アメリカ疾病管理予防センター)はVAERSに示された死亡例について、「現在までのところVAERSはCOVID-19ワクチンについて安全性の問題を指し示す死因パターンを検出していない」としているのである。
人間である以上、飛び交う情報に惑わされるのは当たり前だが、変な情報に踊らされないように注意することをおろそかにしないでもらいたいものである。
無料のメルマガの登録をぜひともお願いしたい。(このブログ記事の下↓に登録フォームあり)
※ 日本再興のために、以下のバナーをポチッとしていただけると助かります。
jp.reuters.comの記事
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-pfizer-idJPKBN2BO5VL?fbclid=IwAR3a2qveGRljCzgvV1T7ioRLTts7L4dg_CnWeBXr4YCyqr-_-0H22E_BvTE
www.nishinippon.co.jpの記事
https://www.nishinippon.co.jp/item/o/680433/
jpmarket-conditions.comの記事
https://jpmarket-conditions.com/COVID-19/ja/Israel/?fbclid=IwAR2NT1tiA28citUS9dQqaxaNRFs2kJZSWrLuzBWMVguC0RuWhCmzHMXz0Oc
nhk.or.jpの記事
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210203/k10012846711000.html
nippon-saikou.comの記事
https://nippon-saikou.com/5756
ファイザーワクチンの画像
https://www.nippon.com/ja/ncommon/contents/news/616707/616707.jpg
無料メルマガ
最新情報やプレゼント特典などをメール配信しています!メルマガでのみ公開しているネタあり!今すぐ無料登録しましょう!