安全保障

日本で人工呼吸器の増産が進まない理由がわかった! (朝香 豊)


人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!

新型コロナウィルスの感染拡大で、世界的に人工呼吸器の需要が拡大している。

日本の既存メーカーは、目下フル生産体制で動いているが、すでに受けている海外からの引き合いも多く、日本国内の需要を十分に満たす量を供給できる体制にはなっていない。

トヨタ、日産、ホンダ、スズキなどの自動車メーカーは、海外では現地政府の要請に応えて、人工呼吸器の生産をすでに進めている。

だが、日本国内では、これらのメーカーは人工呼吸器の製造に参入していない。

これを「なぜなんだろう?」と訝しく思っていたら、ようやく原因がわかった。

日本の規制があまりにも厳しすぎるため、参入できないのである。

国内で人工呼吸器を製造するためには、医薬品医療機器法による審査が必要になる。

製造許可や工場の設計等の審査項目が多く、新規参入の場合には認可を得るのに10ヵ月以上かかるようだ。

厚生労働省は、安全のためには厳格な手続きが必要だとの立場を崩しておらず、このため異業種メーカーの参入は事実上無理なのだ。

経済産業省は異業種メーカーに生産協力の要請をしていて、メーカー側も前向きな姿勢は持っているものの、製造に関するサポートに回ることしかできないわけだ。

さてアメリカでは、非常事態を前にして、食品医薬品局(FDA)が人工呼吸器製造に関する規制を一部緩和し、異業種の早期参入を促した。

これにより、トヨタがアメリカでの人工呼吸器の生産に迅速に参入したほか、トランプ大統領が「国防生産法」により、GMに人工呼吸器の生産に着手させたこともよく知られている。

イギリスでは、政府が人工呼吸器製造に関する仕様を公開し、承認の条件を明示し、製造条件を満たすものについては迅速に承認する体制を築き上げた。

これにより掃除機メーカーのダイソンが人工呼吸器を完成させ、既に政府の承認を待っている段階になっている。

だが日本では「業界秩序」が重んじられ、異業種の参入を阻むような規制が非常に強い。

この危機を前にしても、緩和は進んでいない。

もちろん国民の利便性や安全性が損なわれるようであるなら、規制緩和を認めるわけにはいかない。

そして日本の規制も、建前としてはこうした国民の利益を守るために作られていることになっている。

だが、実際には「業界秩序」を守るために、新規参入をなるべくさせないように規制が用意されていることが多い。

こうした非常時においても、そうした規制がなかなか緩和されないために、国民に大きな不利益を生んでしまうということは、本当にあってよいのだろうか。

人工呼吸器に限らず、不足が問題となっている医療物資の増産に関して、日本政府の対応が迅速だとはなかなか思えない。

これが「業界秩序」に配慮した結果であるかどうかはわからないが、現状のような危機に際して平常運転を転換できないというのは、問題が大きいと私には感じられる。

※ 日本再興のために、以下のバナーをポチッとしていただけると助かります。


人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!

ネタ元の日経新聞の記事
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO57929410Q0A410C2MM8000?unlock=1&s=3
ネタ元の日刊自動車新聞の記事
https://www.netdenjd.com/articles/-/230822
画像はNHKの記事から
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200404/k10012368451000.html
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200404/K10012368451_2004041643_2004041657_01_02.jpg

無料メルマガ

最新情報やプレゼント特典などをメール配信しています!メルマガでのみ公開しているネタあり!今すぐ無料登録しましょう!

ピックアップ記事

  1. 米中通商協議が部分合意に! 今回はアメリカの一方的勝利!(朝香 豊)
  2. TSMCの日本投資は大きなチャンス! 反対論者は日台離反工作に乗せられていないか…
  3. 北朝鮮漁船と水産庁船の衝突 ようやく映像公開へ! 日本政府の対応には不信感がいっ…
  4. 「研究所起源説」をめぐるアメリカ政府内部での攻防! ついに「起源説」が市民権を得…
  5. 最悪! 安倍・習会談、習近平氏の国賓来日の準備を進めることで一致! (朝香 豊)…

関連記事

  1. 安全保障

    アメリカ以外にも広がる中共批判! 新型コロナウイルスで!(朝香 豊)

    人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!アメ…

  2. 安全保障

    外国代理人登録法にも違反か? バイデン!(朝香 豊)

    人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!中国…

  3. 安全保障

    米国防長官、北朝鮮に「勝つ準備」を確認する必要を強調!(朝香 豊)

    人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!アメ…

  4. 安全保障

    イスラエル破壊は「達成可能な目標」! イラン革命防衛隊司令官!(朝香 豊)

    イラン革命防衛隊のホセイン・サラミ司令官は、宿敵イスラエルにつ…

  5. 安全保障

    文政権の説明破綻! 問題の咸朴島の帰属を巡って (朝香 豊)

    仁川空港から西にわずか45キロしか行っていないところに咸朴島と…

無料メルマガ

おすすめ記事

アーカイブ

  1. 人権・民主主義

    香港「蘋果日報」の株価連日の急騰! 黎智英氏逮捕への香港市民の抗議!(朝香 豊)…
  2. 安全保障

    中国の統計は信用ならない! あのイランも言い出す!(朝香 豊)
  3. 人権・民主主義

    ローマ教皇が米黒人死亡事件で「人種差別は容認できない」と発言! では中国は?(朝…
  4. 安全保障

    今なお「安保法制=戦争法」だと主張! あまりに無責任な日本共産党!(朝香 豊)
  5. 経済

    安倍総理、大型の景気対策を指示か?(朝香 豊)
PAGE TOP