現在米軍内部でマルクス主義思想やその影響を多分に受けた批判的人種理論(アメリカの政治社会制度はすべて白人基準で出来上がっている人種差別的なものだという理論)が拡散しているのは知っているだろうか。
陸軍士官学校で批判的人種理論が教えられていることが共和党議員によって問題にされた時に、米軍の制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長は、「いま社会で起きていることを軍幹部候補生が学んでなぜ悪いのか。私は士官学校でマルクスもレーニンも毛沢東も読んできた」との反論を行ったことが報じられた。
バイデン政権の下では軍人も批判的人種理論に基づき、多様性や包括性などを受け入れることが求められていて、これに対して反対意見を口にすることも困難になっている。この結果、白人の家庭に生まれ、両親ともに健在であるなど、恵まれた家庭環境で育ってきたことが逆差別の対象となるようなことが、米軍の中では起こっているのである。
このような風潮の中で、この流れはおかしいと声を上げる将校も現れた。米宇宙軍に所属するマシュー・ローマイヤー中佐である。ローマイヤー氏は、米軍におけるマルクス主義や批判的人種理論の広がりを警告する本を出版し、ラジオ番組でその宣伝を行った。
これに対して宇宙作戦司令部のスティーブン・ホワイティング中将は、ローマイヤー中佐の指揮権を解く決定を下した。本の出版が軍人の政治的中立性を害しているというのがその理由である。
このホワイティング中将の決定に対して、上院軍事委員会のジム・インハーフ委員長(共和党)らが反対意見を表明しているのは、私は当然だと思う。マルクス主義思想や批判的人種理論は社会の安定を崩す有害な理論であるからだ。社会の各層には議論や双方の歩み寄りによっては解決のできない対立構造があり、この対立構造がある限り平和な社会が実現しないというのでは、社会を破壊に導くしかなくなるからだ。
こうした基本的な考察を抜きにして、マルクス主義や批判的人種理論を受け入れることの危険性はあまりに大きい。
マルクス主義や批判的人種理論を批判的には研究すべきであるが、こうしたものを受け入れたような教育を米軍内で進めているという現実は、あまりにも恐ろしいことではないだろうか。
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マシュー・ローマイヤー中佐の画像
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マーク・ミリー統合参謀本部議長の画像
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