安全保障

パイプラインへのサイバー攻撃で、アメリカ東部は大混乱! 黒幕は本当にロシアか?(朝香 豊)


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アメリカ国内で最大規模の石油パイプライン「コロニアル・パイプライン」がサイバー攻撃で停止した問題で、アメリカ南東部の州でガソリンの供給にかなり大きな支障が生じている。同社はアメリカ東海岸で消費される燃料の約45%を供給しており、その影響は甚大だ。フロリダ州からバージニア州にかけてガソリン切れを起こしているガソリンスタンドがどんどん出ている状況である。例えば、ノースカロライナ州シャーロットでは71%のガソリンスタンドで供給が停止した。

このパイプラインは7つの空港に直結して、航空機のジェット燃料も供給していたのだが、この供給も絶たれた。このため、こうした空港から長距離の直行便が運行できなくなり、途中でこのパイプライン停止の影響を受けない空港を一旦経由し、給油作業を終えてから再出発することを余儀なくされている。これまで通りにジェット燃料の供給が賄える空港から供給が絶たれた空港へトラック輸送で燃料を補給することも行われている。

ノースカロライナとバージニアの州知事は非常事態を宣言した。ジョージア州はガソリン料金の高騰による消費者への負担を緩和するため、ガソリンの消費税を15日まで免除すると発表した。

連邦政府は、供給力を補うために、燃料を輸送するトラック運転手の長時間労働を認めた。米国土安全保障省も、アメリカ国内で船舶輸送を行う際に国内で建造された船舶を使い、米国人船員が乗り組まなければならないとした法律の義務付けを一時的に適用除外して、海運力を一時的に強化することにした。パイプライン事業者の操業規則も緩和し、復旧作業に当たる緊急要員を外部から容易に動員できるようにした。

5月15日頃にはパイプラインは復旧すると見られているが、パイプラインが復旧しても、テキサス州で投入した燃料がパイプラインの終着点であるニュージャージー州を経由してニューヨークにまで到着するのに15日程度かかるとされており、混乱は簡単には収束しないようだ。

さて、今回のパイプラインの停止については、ロシアに拠点を置くサイバー犯罪集団「ダークサイド」がランサムウェア (身代金ウイルス)を仕掛けたものだと、FBIは認定した。これを受けて、バイデン政権はロシア政府を非難してみせた。ロシア政府がこのサイバー攻撃に関与した証拠はないが、「ダークサイド」はロシアに拠点を置いているから、黙認というレベルも含めれば、ロシア政府が関わっているのは明らかだという判断らしい。

さて、このバイデン政権の非難に対するロシアの反応は興味深い。ロシア政府はこのサイバー攻撃に関して自分たちの関与をきっぱり否定した上で、ロシア側が申し出ていたサイバーセキュリティーなどでの相互協力をアメリカ側が拒否したことが、今回の問題の一端にあるとの発言を行った。これは以下のような意味ではないのか。

「今回のサイバー攻撃の黒幕はロシアではなくて、別のところだ。アメリカがロシアとこの分野での協力関係を築いていたら、その情報を事前に教えてやることもできたし、それによって実害が生じることも防げたのではないか。アメリカがロシアとの協力を拒否したことで、今回の問題が生じたのだ」・・・自分にはロシアがそのように訴えているようにも感じる。

上記の解釈はあくまでも私の憶測に過ぎず、それを超えるものではない。だが、仮に私の憶測が正しいとしたら、真の黒幕はどこなのだろうか。ひょっとしたら、バイデン政権はそれがどこかに本当は気付いているのかもしれない。それなのに、その真の黒幕がどこかを明らかにしたくないから、敢えて気付いていないふりをして、ロシアをスケープゴートにしているのではないか。そんな可能性もあると疑ってしまうのである。

「ダークサイド」側のコメントも興味深い。「ダークサイド」は「私たちは政治とは無関係だ」とし、「私たちの目的は金稼ぎであり、社会に問題を起こすことではない」と述べた。コロニアル・パイプラインが攻撃対象となったのは知らなかったとし、「今日からは、私たちのパートナーが暗号化しようとする企業についてチェックし、社会に影響を及ぼさないようにする」として、異例の「反省」を発表したのである。

「ダークサイド」は自分たちが開発したツールが今回のサイバー攻撃で使われたのは事実だと認めつつ、実際にこれを利用したのは別組織の「パートナー」だとしている。この「パートナー」が真の黒幕なのだろう。そしてこの「パートナー」は、ロシアが絡んだ犯行であるかのように見せかけるために、わざわざ「ダークサイド」のツールを使ったと見るべきではないのか。「ダークサイド」は「パートナー」に裏切られたとさえ言いたげである。

こういうことを考えていくと、なかなか興味深い事件なのである。
 
 
 
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サイバー攻撃でダウンしたコロニアル・パイプラインンの画像
https://i.ytimg.com/vi/fWuAbG8oChQ/maxresdefault.jpg

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