中国国家統計局が予定より1ヶ月以上遅れて、ようやく5月11日に2020年の国勢調査結果を発表した。結果発表がずっと先延ばしにされ、そんな中で人口減少が明らかになったとのスクープ記事がフィナンシャル・タイムズから出されたこともあり、公表された結果に疑いの目が向けられるのはある意味当然だ。今回の国勢調査結果によると、中国の総人口は14億1178万人で、昨年よりも1173万人増加したことになる。14歳以下の人口は2億5338万人で、前回調査の2010年から13.8%も増えていることになる。
ここで面白いのは、国家統計局が毎年公表した直近14年間の合計出生数は2億3900万人にとどまるところだ。つまり1400万人余りが「出生後に増えた」形になるのである。1400万人以上の外国人の子どもたちが中国に帰化したのでもない限り、この数字は説明がつかないわけだ。そしてそんなことがありえないのは、いちいち言うまでもないだろう。
中国ではどんどん少子化が進んでいるのは公然と知られているのに、国勢調査ベースでは、14歳以下の人口は前回調査の2010年から13.8%も増えている形になる。国家統計局は、中国政府が2016年にすべての夫婦に2人目の出産も認めた効果が出ているのだと主張しているようだが、これを真に受ける人は果たしているのだろうか。
なお中国の公安省が集計したデータでは2020年の出生数は1003万5000人であったので、国家統計局の発表の1200万人は公安省のデータよりも200万人も多かった。農村での統計の漏れを修正した結果だというのが公式の説明だが、どこまで信用していいのだろうか。かつては一人っ子政策によって出生を報告しないこともあったが、一人っ子政策はすでに撤廃されており、二人目を申告しない理由がなくなっているからである。
こうした中国の人口統計のおかしさは、以前から一部の世界では指摘されてきた。私も以前のブログ記事で取り上げたこともある。だが、こうしたおかしさを主要マスコミが報じることはほとんどなかったはずだ。今回このおかしさを日経新聞などが報道しているのは興味深い。今後中国のデータ改ざんの疑いが、いろんな機会を捉えて報じられる動きが始まったのかもしれないからだ。
さらに興味深いのは、中国共産党系メディアの環球時報が、中国の人口統計学者の見方として、中国の総人口が2022年にも減少に転じる見込みが高いと伝えているところだ。人口減少は公式的には2027年頃からと予測されていることになっているから、このような情報は習近平総書記からすれば極めて好ましくない情報だろう。そんな情報を環球時報が流しているのは、中国共産党内部で静かな形で反習近平の動きが広がっていることも予感させる。フィナンシャル・タイムズのスクープ記事も、共産党内部からのリークだったと考えざるをえない。
今後の中国を考えるのに、実に面白いと言えるのではないだろうか。
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中国の新生児の画像
https://static.reuters.com/resources/r/?m=02&d=20210419&t=2&i=1559035051&r=LYNXMPEH3I0GI&w=800
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