新型コロナウイルスの影響で、2月の中国の自動車販売台数は、前年同月比で80%減った。
こうした中で、各社とも厳しい経営環境にさらされ、従業員の給与の支払い遅延や、給与額のカットに走っているところも多い。
中国を代表する自動車メーカーの上海汽車集団系のある子会社では、従業員の3〜6月期の給与を75%~100%減額するとしているという。(さすがにこの数字をそのまま信じていいのか、不安になる報道だ。)
この例は極端なものだろうが、給与の20%カット、賞与の支払停止、給与支給の延期などは、広く見られる事態になっていると言ってよいと思う。
しかも、こういう事態は、恐らくは自動車業界に限られないものだろう。
というのは、中国の人力資源・社会保障部は「企業と従業員が協議を通じて給料の調整、労働時間の短縮、輪番休業を指導する」と述べているからだ。
つまり、中国政府自身が、従業員側に負担を求めて、現下の危機的な経済環境に対応することを求めて指導しているわけだ。
個別企業の生き残りを考えれば、こういう流れになるのもやむをえないところはあるが、これをマクロ経済的に見るとどうなるだろうか。
どの企業においても給与が軒並み引き下がるということになれば、国民全体の購買力は著しく低下することになる。
その結果、買い控えが生じることで、販売環境をさらに悪化させることになる。
要するにデフレスパイラルにはまることになる。
目下の経済環境への対策として、企業が低金利の「コロナウイルス債」を起債して、当面の資金繰りを賄うことを、中国政府は認めた。
すでに起債額は4兆円近くに達していて、資金繰りに困った企業にはありがたい制度だろう。
また、中国政府は、積極財政により公共投資を増やすことで、デフレスパイラルに対抗しようとしている。
だが、どちらも債務を増やして当面を生き延びることには有効であっても、経済の効率性を引き上げるという点では、全く貢献するものにはならない。
中国には高速鉄道が数多く引かれているが、その中の1つの蘭州・ウルムチ高速鉄道は、1日4往復しか運行していない。
すでに経済活動を引き上げるのに有効な路線は全て引いてしまったので、はっきり言って「ムダ」な路線を新しく作るしかなくなっているために、こうした鉄道が引かれているのだ。
中国経済のいびつさが、さらに浮き彫りになってきた。
こんなことをしていては、習近平体制は長くはもたないであろう。
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ネタ元の大紀元時報の記事
https://www.epochtimes.jp/p/2020/03/52647.html
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