安全保障

林外相が中国の人権状況に深刻な懸念を表明! ならば中途半端な妥協的行動は絶対に慎め!(朝香 豊)


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訪英中の林芳正外相はG7外相会合で、中国の新疆ウイグル自治区や香港の人権状況に深刻な懸念を表明したほか、同国が軍事的圧力を強める台湾海峡の平和と安定の重要性を訴えたことを明らかにした。

林外相がこのような発言をしているのは、日本国内世論の動向を気にしているからであり、あまり親中的な言動を行っていると支持者がついてこなくなる政治状況を理解しているからである。私たちが道理を通せと強く迫っていることが間違いなく効いている証拠だとも言える。

だからといってこれを評価できるかと言えば、ここまでなら誰でもできるレベルであることを忘れるべきではない。

橋本聖子氏とか室伏広治氏とか山下泰裕氏とかであれば、政府高官ではないから「外交的ボイコット」をしても派遣できるなどという中途半端な考えはやめにしてもらいたい。

深刻な人権状況に「ノー」と突き付けるのであれば、いかなる形でも日本国が北京オリンピックを容認するという姿勢を見せるべきではないのだ。

ワシントン・ポストは今回の北京オリンピックを「ジェノサイド・オリンピック」だとする社説を掲載した。派遣される選手団に対しても「弾圧の犠牲者と連帯して非難の声をあげる必要がある」とし、メディアに対しても「紙面や放送時間を費やし、凄惨な虐待の真実を伝えるべきだ」との注文を行った。スポンサー企業に対しても「習近平政権が人道に対する犯罪を封印することに手を貸すことに恥を知るべきだ」との姿勢を明確に示した。

ワシントンポストの姿勢からわかる通り、今後欧米のマスコミ報道の中ではウイグルなどで展開されているジェノサイドなど、中国での信じられないような人権侵害事件が取り扱われることが増えていくだろう。その中で北京オリンピックのスポンサー企業に対する見方も厳しさを増していくのは確実である。

事実、アメリカ共和党のマルコ・ルビオ上院議員は北京オリンピックのスポンサー企業に対して、「ジェノサイドを無視して利益追求に走っている」と非難する書簡を送ったことを明らかにした。日本企業のトヨタ自動車、パナソニック、ブリヂストンも書簡の送付先となっている。つまりルビオ議員は「経済的ボイコット」をスポンサー企業に求める動きを見せているわけである。

実際にこうした「経済的ボイコット」が実現する可能性はまだまだ低いだろう。なんとバイデン政権は「経済的ボイコット」を否定する立場を表明している。だが、ルビオ議員の動きに見られるように、アメリカの議会が「経済的ボイコット」を求める決議を上げる可能性は残されている。なお、米議会は女子テニスの彭帥選手をめぐるIOCの対応を非難する決議を全会一致で上げている。

このように北京オリンピックは「外交的ボイコット」で落ち着くどころか、どんどんと「外交的ボイコット」の枠から外れていく流れになっている。この中でIOCはオリンピックの1年延期を落とし所として既に動き出しているのではないかと思う。この流れに習近平政権は激しく抵抗するのは間違いなく、中国側に様々な弱みを握られているIOC委員たちがすんなり決めるとも思えないが、このまま北京オリンピックを強行するようなことをやったらIOCに対する信頼が地に落ちることになるのは間違いない。それはどうしても避けたいであろう。

今のところは北京オリンピックに参加することのない「外野」のスポーツ選手が声を上げているところに留まっているが、ボイコット運動が広がっていく中では北京オリンピックに参加予定の選手の一部からも「自主的ボイコット」の声が出てくることになるだろう。

こうなるとIOCがこのまま北京オリンピックの開催を強行することはなおさら厳しさを増すことになり、スポンサー企業に対しての圧力もさらに強まることになる。

こうした形で流れていくことは既に読めるのであり、岸田内閣はこうした流れを見誤るべきではない。

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ブルームバーグの記事
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-12-09/R3TKZHT0AFB701
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https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO0904134005082021000000-1.jpg?ixlib=js-2.3.2&w=638&h=479&auto=format%2Ccompress&ch=Width%2CDPR&q=45&fit=crop&bg=FFFFFF&s=99d4904e4934f9e936fe1b8834f609bd

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