日本の新型コロナウイルスの感染者数が他国に比して極端と言えるほど低いことに、疑惑の視線が投げられかけてきた。
日本は感染者数を少なく見せるために、意図的に検査を行わないようにしているのではないか、みたいな指摘は、欧米系のマスコミからは特によくなされている。
確かに、ヨーロッパやアメリカの感染は、日本で広がり始めたのと比べて随分と遅い時期から広がり始めたはずなのに、今や日本を遥かに上回る感染者数に至っている。
最近東京などで急激に増えてきたといっても、諸外国と比べれば、日本の感染の広がりは遥かに緩やかだといえる。
あまりにも日本が例外的すぎるので、どうしても怪しく見えてしまうのだろう。
だが、日本の場合には、重症者も少ないし、死者数も少ない。
私は以前は、新型コロナウイルスによる肺炎だと診断されないだけで、実はそうだという患者が数多くいるのではないのかという疑いを持っていたが、どうもそういうものでもないらしい。
世間をいっときお騒がせしたあの岩田健太郎医師も、そういう怪しい肺炎が広がっているなら、自分たちの耳にも噂として入ってくるはずだが、そういうことはないということを述べている。
つまり、実数として示されている重症者数や死者数は、ほぼ正確に日本のリアルな現状を説明しているものだと推測できるわけだ。
もちろん、感染者は当然重症者や死者ばかりではない。
当然ながら、軽症者の方がはるかにたくさんいるはずで、この軽症者の実数も知りたいと思うのは、当然であろう。
これについては北海道大学の西浦教授らの北大の研究者グループが、表面化した軽症者数のほぼ2倍だろうという推計値を出している。
こうした推計値は、当然様々な前提条件を加えて出しているから、そのまま正しいかどうかはわからない。
それでも、このような推計値から実数が大きく外れて大きいのであれば、重症者数や死者数がもっと増えなければならないことになるはずだ。
とりあえずこの推計値を正しいものだとみなせば、まだ日本の感染者数は3000人程度であり、日本人の中の感染者の割合は、4万人に1人程度でしかないとみなすことができる。
5人程度で集まる飲み会が8000組くらい行われると、その中には1人くらい感染者がいるかもしれず、その1人が一緒に飲んだ仲間に感染させている可能性があるという話になる。
1晩で200万人くらいが飲み会に参加するとすれば、その中には50人くらいの感染者が含まれていて、200人くらいに感染のリスクが生まれることになる。
そしてその中から実際に毎日100人程度の感染者が出現しているようなイメージで捉えてみればよいのではないだろうか。
もちろん感染は飲み会以外でも普通に起こっているわけで、飲み会というのはわかりやすい例えでしかない。
わかってもらいたいのは、感染者の割合で見れば実は大したことではないとしても、日本全体で見れば、それなりに大きな数字となって表れてくるという仕組みだ。
同じ電車に感染者が乗り合わせたらどうなんだろうと、私も以前は気になっていたが、満員電車でもみんな黙って乗っているだけであるなら、感染リスクはほぼないらしい。
実際にそれが原因で感染が広がっていくのであれば、首都圏の感染状況はもっと爆発的なものであったろう。
気を緩めると感染者数はねずみ算的に増えていくことは確かなので、節度ある行動が大切であるのはもちろんだ。
私たち一人一人が節度ある行動を取らなければ、感染者をどんどん増やして、日本での感染リスクを高めていくことになってしまう。
ただ、他者との距離を2メートル程度離して、おしゃべりもしないようであるなら、感染のリスクは限りなくゼロに近く、過剰な心配は必要ないと考えるべきだ。
あくまでも正しく恐れることを基本に考えたい。
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参考にしたの北大グループの論文
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.03.09.20033183v1.full.pdf?fbclid=IwAR0STGh1iicp4yOpP5OVlspyg7NJJEbFCtQUg-eFlbnzzOlbr4UW3W0Eixk
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