中国華融資産管理(華融)の社債が大暴落した。
華融は拙著「それでも習近平が中国経済を崩壊させる」にも登場する不良債権処理の会社だ。中国工商銀行などの不良資産を引き取り、これに手を加えて売却することで利益を上げているとされていた。
ところが、どうやら利益を上げていたのはいわゆる「飛ばし」によるものだったのではないかとの疑いが強まっている。「飛ばし」とは、市場評価より遥かに高い値段で一時的に買ってもらう手法だ。後日もっと高い値段で買い戻すことを条件にして、一旦高値で売却し、「売却益」が生じたかのように装う手法である。これでは高値で売却しても、本質的な不良債権処理にはなっていないことになる。
華融は中国の中央政府とも密接な関係を持ち、一帯一路関連の融資にも関わっていて、国策的にも潰されることはないと見なされてきた。それなのに、ブルームバーグが中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)に華融の資産状況に関し問い合わせても、4月16日の午前の段階では返答は得られなかった。華融の救済に対して中国政府が動きが鈍かったことにショックを覚えている市場関係者は多いようだ。
華融の借り入れは1623億ドル(17兆円)であり、中国本土外で借り入れた分だけでも232億ドル(2兆5000億円)ある。この分は外国人投資家が購入していると見られ、中国政府が後ろ盾にならなければ、外国人投資家が損失を被ることになる。中国の投資適格の米ドル債は、リスクフリーで高利回りだと以前は考えられていたが、それを裏切るような事態が近年相次いでいた。
そうした中にあっても、華融は特別な位置づけの会社で、中国政府財政部との関わりが極めて強いことでも知られる。中国の最大のアキレス腱である不良債権処理の中心ともいえる会社なのである。華融の救済すらないとすれば、中央政府が今後不良債権問題で国有企業の救済に乗り出す見通しは極めて薄くなる。その点を考慮してと思われるが、銀行に華融への融資を停止しないように、中国政府が要請したとのニュースが入った。重い腰を上げたという感じだ。これで4月27日期限のドル建て債券は全額償還する目処が立ったようだ。
それでも、中国の社債の信頼性が大揺れになる事態が発生したことで、政治的に強いポジションにいる特別な国有企業を含めて、中国企業の今後の資金調達、特に外国投資家による資金調達は極めて厳しくなったと見るべきである。新規の外貨の借り換えができない事態となった場合に、中国企業は返済資金のドルの調達で苦しむことになる。対応が遅くなったのは、習近平がなかなか決断しなかったということだろうが、この決断の鈍さは今後大きな影響を与えることになるだろう。
西側の金融市場は目下アルケゴスの損失表面化で揺れているが、ここに中国の不良債権問題がクローズアップされてきたことで、大荒れになるリスクが高まっていると言えるのではないか。金融市場は要警戒だ。
拙著「それでも習近平が中国経済を崩壊させる」もぜひお読みください。
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華融の債券価格の画像
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