習近平体制の下で、中国は現在「戦狼外交」と呼ばれる、対外強硬外交を展開している。
特に厳しい扱いを受けているのは、新型コロナウイルスの発生源の独立調査を要求したオーストラリアである。
オーストラリアは輸出がGDPの20%を超えており、そのうち1/3以上を中国が占めている。
つまり、中国がオーストラリアからの輸入を差し止めれば、オーストラリアはGDPの7%程度が吹っ飛ぶ計算となるわけで、オーストラリアは経済的に中国に対してかなり弱い状態となっている。
こういう観点から、オーストラリアなら経済的に締め上げれば音を上げるだろうというのが、中国側の見立てだ。
中国は「ダンピング」を理由にしてオーストラリアの大麦の関税を80%に引き上げ、オーストラリア産の大麦を国内マーケットから事実上締め出した。
中国はオーストラリア産牛肉について、検査・検疫の要件に違反する事例が相次いで見つかったことを理由として、対中輸出の35%程度の牛肉について、輸入を差し止める決定を下した。
さらに中国は、オーストラリア政府組織全般に対する、大規模なサイバーテロを仕掛けていると見られている。
中国がこのような激しい攻撃をオーストラリアに仕掛けているのは、新型コロナウイルスの発生源の独立調査要求だけが原因では、恐らくないだろう。
アメリカ・日本・オーストラリアの3カ国は昨年の11月に、「ブルー・ドット・ネットワーク」(BDN)構想を打ち出した。
これはインド太平洋地域において、透明性が高くて高品質で持続性のあるインフラ整備を広げるための金融制度を整えるというものである。
中国が「一帯一路」構想により、不透明な融資で低品質で持続性のないインフラ整備を行い、国家主権の一部を中国に手渡さなければならない国も生まれていることへの、明らかな対抗策だ。
この3カ国の中で最も弱い立場にあるオーストラリアを狙い撃ちにして、この構想に打撃を与えたいという思いも、中国側にはあるのではないかと思われる。
アメリカは新しい経済同盟構想の「経済繁栄ネットワーク」(EPN)を提唱している。
EPNは、中国への戦略物資の輸出を差し止め、また中国に対して同盟国全体で高関税をかけるなどして、中国依存度の高いサプライチェーンの組み換えを進めるのが狙いだ。
BDNとEPNを互いに連携させながら中国外しを進めていくのを、西側のコンセンサスにしていこうというのがアメリカの戦略で、これに何とかして打撃を与えたいとの思惑から、比較的弱そうなオーストラリアを中国が狙い撃ちにしているのではないかと考えられるわけだ。
これに対する正解は、BDNとEPNを早期に稼働させることであろう。
この点で、日本の果たすべき役割も極めて大きいと言えるだろう。
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ネタ元のアメリカ大使館の公式マガジン「アメリカンビュー」の記事
https://amview.japan.usembassy.gov/what-is-the-blue-dot-network-for-infrastructure-financing/
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