日本の農家の平均年齢は1990年には59.1才だったが、2019年には66.8才となり、20年ほどの間に7.7年高齢化した。
日本の農業は高齢化によって風前の灯であり、これを何とか救うためにはもっと農家支援を強化すべきだと思っている人は多い。
だがこの考え方には、いろいろな事実誤認がある。
同時期の日本人の平均年齢を見てみよう。
実は、1990年の日本人の平均年齢が37.0才で、2020年には48.4才となり、この間に11.4年も伸びているのだ。
日本人全体の平均年齢が11.4年伸びている中で、農業者の平均年齢が7.7年に留まっているとしたら、農業者の高齢化は意外と進んでいないということになる。
しかも農家の平均年齢はもう10年以上にわたってほぼ66才台という状態が続いていて、高齢化には事実上ストップがかかっている。
頂点を付けたのは2015年(平均年齢67.0才)で、実はそれ以降はそれより低いレベルでとどまっているのが実際だ。
このままどんどんと高齢化が進んでいって、日本の農業は壊滅するというのは、ためにするプロパガンダにすぎない。
農業経営体の数は、2005年には200万を超えていたが、2015年には140万を切ったので、急激に農家が減少しているというのは確かだ。
ならやっぱり危機なんじゃないかと思うかもしれないが、実はそうではない。
副業的な小規模事業体が大きく減っているのに対して、本気で農業で食べていこうとしている、規模の大きな経営体は逆に増えているからだ。
ちなみに、年間15万円以上の農業の売上があるなら、全員「農家」扱いなので、「農家」の中には家庭菜園の延長にしか見えない人たちも実は多い。
念のために言っておくが、年間15万円以上は「売上」であって、「利益」ではない。
売上15万円、利益ゼロでも、「農家」なのだ。
そんな極端な例外の話をするなと思う人もいるだろうが、それが例外とも言えないのが実際である。
古い統計で申し訳ないが、2005年の資料によると、日本の「農家」の6割弱が年間売上100万円以下であった。(ちなみに、最近の農業統計では収入区分が変わって、100万円以下の割合がわからなくなっている。)
繰り返すが、これは「売上」であって「利益」ではない。
こうした「農家」が農業でメシを食っていると思うほうがおかしいだろう。
こうした小規模農家では、農業はあくまでも副業で、普段は普通にサラリーマンをやっていたりする。
本業が休みの週末だけ農業もやっているなんていうのが、割と普通の光景なのだ。
こうした6割の「農家」が生み出す生産物は、農業全体の生産物の1割にも満たない。
はっきり言うが、この人たちを「切り捨て」ても、日本の農業に大した影響はない。
こうした「農家」が「農家」を続けているのは、「農家」だといろいろとおいしいことが多いからだ。
もちろん、後継ぎがいなければ、消えていくことになる。
それが近年の小規模事業体の減少につながっている。
さて、日本の農政は「農家保護」というか「農家優遇」になっていて、肝心の「農業保護」にはなっていない。
「農業保護」を謳うのであれば、「農地保護」こそ徹底されるべきだが、「農地保護」は実にいい加減だ。
例えば農地を宅地などに転用して販売すると、莫大な利益が「農家」に転がり込むことになる。
農地を農地として徹底的に活用するのが農業政策の基本になるべきだが、農地を毀損させる行為が「農家」の特権のように認められ、それが「農家」の票を集めるための制度として機能してきた。
農家を応援しようというのであれば、真剣に農業で食べていくことを考えているプロの農家だけに絞るべきではないのか。
農地を農地として存分に活用すること以外で利益を出そうとする「ナンチャッテ農家」は、むしろ「農家」から退出させるべきではないか。
今の「農業保護」に名を借りた「農家優遇」政策は、止めるべきだと思っている。
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