韓国のソウル中央地裁は、自称元「徴用工」やその遺族85人が新日鉄住金(現日本製鉄)、三菱重工業など日本企業16社を相手取って賠償を求めた訴訟で、原告の訴えを却下した。判決は請求権問題が「完全かつ最終的に解決された」と明記した1965年の日韓請求権協定を持ち出し、原告の賠償請求権についてはこの適用対象となることを指摘した。
国際法の観点から見れば至極真っ当な判決ではあるが、それでもこんな判決が韓国で出たことには意外な思いを感じた。
自称元「徴用工」をめぐる裁判では、既に2018年に別の訴訟で日本企業に賠償を命じる大法院(最高裁)判決が確定し、その後も同種訴訟で日本企業の敗訴が相次いでいる。最高裁の判例は下級裁判所を拘束するはずであり、今回のソウル中央地裁の判決は、そういう点でも意外である。
意外な判決といえば、4月にやはり同じソウル中央地裁が、国家は外国の裁判権に服さないとする国際法上の「主権免除の原則」を認めて、元慰安婦らが日本政府に賠償を請求した訴えを却下したのも意外であった。このような意外な判決が4月、6月と下級審で相次いだことになる。
日韓慰安婦問題に長年関わってきた西岡力氏によると、現在の与党が来年の3月に予定されている韓国の大統領選挙で敗北し、司法界のトップが入れ替わることになることを見越して、自らの法律上の常識に従って判決を下しても不利益を被ることはないであろうと、裁判官が達観したのではないかとのことである。この見方が妥当であるのかどうかは私にはわからないが、西岡氏は韓国の保守派と様々な意見交換を行った上でこうした見解を伝えられているはずで、少なくとも韓国の保守派の中ではこうした見方が広がっているのは確かなようだ。
さて、韓国の文在寅政権は経済政策で完全に失敗している。文政権のもとでは2018年に最低賃金が16.4%、2019年にも10.9%引き上げられた。これによって低所得者層の所得が増え、経済成長が実現できるというのが文政権が企図したことだったわけだが、現実には特にスモールビジネスに大打撃を与えて失業率を引き上げ、韓国経済を沈没させた。この最低賃金引き上げ政策については、与党「共に民主党」の宋永吉代表も今や間違っていたと認めざるをえなくなっている。
韓国では国内に十分な職場を見つけられない若者たちが海外に雇用機会を求める動きを強めている。おまけに韓国の合計特殊出生率は0.84と世界最低を続けている。この2つの動きが合わさって、将来の少子化は日本よりも遥かに深刻である。
韓国では何かあると労組が激しいストに訴えるのは当たり前になっている。文政権は親北的で闘争色の強い労働組合の立場を後押しし、こうした労組を支持基盤にしてきた。文政権は失業した人が労組に残ることができるように法改正を行い、経営者に対して失業者のプレッシャーまで加わるようなことまで行っている。こうした政策が韓国での企業の操業を難しくさせている。
さて、先ごろ行われた米韓首脳会談では、韓国の財閥系企業が大規模な対米投資を表明したが、これを単純にアメリカ対する韓国側の協力だと見るのは適切ではないのではないか。韓国には投資先として魅力がなくなり、計画的な操業を行いにくい韓国からの脱出を多くの企業が考えているのではないか。
対米投資ではサムスンが170億ドル(1兆8500億円)、現代自動車が74億ドル(8000億円)など、総額4兆円規模に達する見込みだ。このことを文在寅大統領は自画自賛して見せたが、それは自国の経済基盤を失わせることになりかねない。
文在寅政権に対しては、ソウルの不動産価格を高騰させながら、その中で特権的に私服を肥したあり方への反発も当然強い。だが、恐らくはそれだけではない。文政権の目玉政策であった「検察改革」が、自分たちの罪を検察に問えなくするための改悪でしかなかったこともバレてしまった。今の文在寅政権の経済政策の方向もとても正しいとは思えないという国民意識も高まっている。
こうした複合的な文政権への不満が、今回の判決に影響を及ぼしているのかもしれない。
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韓国「徴用工」デモの画像
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文在寅大統領の画像
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