韓国の文在寅大統領が、あまりにも醜い言い訳を行った。
文大統領は、2月13日に財界人を集めて、「新型コロナウイルス対応経済界懇談会」を開催した。
その席で文大統領は、「国内での防疫管理はある程度安定した段階に入ったようだ」とした上で、「新型コロナウイルスは遠からず終息する」と発言していた。
その上で、「今こそ政府と経済界が心を一つに経済回復の流れをよみがえらせる努力を傾ける時」と、経済界に対し呼びかけていた。
この頃はまだ新天地イエス教会の感染者が発覚する前で、感染者は30名くらいのところで落ち着き、文大統領は楽観ムードに浸っていたのであろう。
だがその後に様相が一変し、あっという間に感染者が1000名を超えてしまった。
このために「終息」どころか「増殖」ではないかと揶揄する声も上がってきた。
そこで、問題となった「終息」発言の言い訳を言いだしたわけだ。
「遠からず終息する」と言った発言は「疾病管理本部が(防疫に)最善を尽くしており、政府も緊張を緩めずにいるため、国民は安心して日常に戻ってほしいという言葉の後で出た発言」であり、「国民を安心させようと発したメッセージだった」というのである。
これはかなり無理があるだろう。
緊張を緩めたからこその「終息」発言だっただろうに、政府は緊張を緩めていなかったのだと強弁したわけだ。
聞かされた国民は却ってドン引きではないだろうか。
そもそも「終息」発言の前日には、「過度な不安感を振り払って再び日常活動、特に経済活動・消費活動を活発にしてくれることが根本的な対策」とか「集団行事を延期したりキャンセルする必要性はない」とも発言していたのだ。
さらに与党「共に民主党」の主席報道官が「大邱・慶北地域を特別管理地域に指定し、通常の遮断措置を超える最大限の封鎖政策を施行する」と発言したことで、住民の大反発を受けた。
「入国阻止を求めている中国人の入国は阻止しないまま、自国である大邱の封鎖に言及するとは、これが国なのか」というわけである。
中国の山東省のある都市が、韓国からの入国を拒否する処置を取ったことも、怒りに輪をかけた格好になった。
大炎上の結果として、この報道官は謝罪と辞任に追い込まれた。
また、韓国保健福祉部(日本の厚生労働省に相当)の朴凌厚長官は、「熱も咳もないわが韓国人が中国に行き、帰国するときに感染源を持ち帰っている」とし、「(新型コロナウイルスの感染拡大の)最も大きな原因は中国から帰国した韓国人だった」と発言してしまった。
早期に中国からの外国人の流入を止めなかった政府の対応の言い訳としては、これは最悪だ。
「このウイルスの特性自体が入国検疫では引っ掛からない」とも述べたから、「だったらなおさら最初から入国を止めるべきだったんじゃないか」と反発を食らった。
たちまち大炎上したのは、当然だ。
朴長官はさらに、「大韓感染学会は中国全域を対象とした入国禁止を推薦しなかった」と言って、責任転嫁を図ったが、これには早速大韓感染学会から「湖北省の制限だけでは不十分」として「危険地域からやって来る入国者の制限が必要だ」と、2月2日の時点で伝えていたと、大反発を食らった。
なお、朴長官は「(中国からの入国を止めない)政府の対応は、ドアを開けたまま蚊を捕まえるようなもの」との野党側の攻撃に対して、「冬だから蚊はいない」と応えて怒りを買っていたこともあったから、まさに火に油を注いだようなものだった。
さらに不幸なことに、感染対策で開かれた特別対策会議に出席した大邱市の副市長の秘書が、新型コロナウイルスに感染していることが明らかになった。
この会議の関係者には自宅待機が求められ、取材したメディア関係者も自宅隔離を要請された。
そして、この会議には文大統領も出席していたのである。
ということは、文大統領自身が自宅隔離の対象者に本来はなるべきだということになってしまう。
文大統領は、朴槿恵政権だった2015年に起きたMERS騒動で38名の死者が出たことを批判して、「私の任期中にはそのような悲劇をなくす」との公約を掲げて、大統領に当選した。
それだけに、この逆風ぶりはあまりに大きな皮肉である。
4月には国会議員選挙がある。
文大統領に対する逆風はこの混乱によってますます高まっている。
与党の惨敗はもはや避けようがないだろう。
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