外交

親中から反中に抜本的に転換! インドネシアのジョコ政権! (朝香 豊)

☆☆☆ 今回はメルマガで2月9日に流していた記事を、ブログに再掲載いたします。メルマガは無料ですので、よろしければご登録ください。☆☆☆
https://maroon-ex.jp/fx146642/ILee4W


人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!

インドネシアのジョコ大統領といえば、日本の受注が確実視されていた高速鉄道計画(ジャカルターバンドン)を、中国側に落札させた親中派のイメージが強い。

この事件のあらましとその後の顛末を以下に述べておきたい。

この鉄道計画に関して、日本は、全長142キロの路線について、しっかりとした地質調査もすべて済ませ、どこに鉄道を通すべきかの詳細な路線図も用意していた。

インドネシアは火山も多く、地形も複雑なため、この路線図の作成にはかなりの労力と時間が必要だった。

だが、インドネシア政府は、この路線図を密かに中国側に流すという裏切り行為を行い、中国側は地質調査費用など全く負担することなく、日本案を丸パクリする形で、やすやすと入札に参加してきた。

中国側はこの受注を獲得するために、工期的に絶対に無理だと思われた2019年の次期大統領選挙に間に合うように開通させるとした。

さらに中国は、インドネシア政府の財政支出や債務保証を必要としないとする案を提出し、これが決め手となって、中国案が採用されることになった。

しかし、建設をすすめるに際しての中国側の提出書類が、中国語で記載されていて、普通のインドネシア人では全く読めないものもあるなど、様々な不備が指摘された。

さらに、建設にあたる中国とインドネシアの合弁企業への融資もなかなか決まらなかったこともあり、着工はなかなか進まなかった。

さらに、もともとの決め手であったインドネシア政府の債務保証を求めないという内容についても、中国側は変更を要求してくるようなことまで起こった。

こんな事情もあり、当初の完工予定の2019年の大統領選挙がとっくに過ぎた現在でも、完成区画は40%程度にすぎないとされる。

完成予定は一応2024年に延期ということになっているが、現段階では完成の目処が立っていないのが実際だ。

中国といえば、インドネシア・スマトラ島北部の森林地帯へのダム建設事業でも、トラブルを抱えている。

この森林地帯は、オランウータンの生息地として知られるが、水力発電用のダムの建設予定地は、このオランウータンがもっとも生息している地域だ。

他にもダム建設に適した場所はいくつもあるのに、どうしてこの地にダムを作らないといけないのかという反発が起こっている。

ダム建設に際しては、環境アセスメントが当然必要になるが、まじめな環境アセスメントが行われているのかという疑惑を持たれることになった。

建設を請け負うのは、中国国有企業のシノハイドロ社で、水力発電事業の会社だ。

建設差し止めを求める訴訟では、建設側が勝利したので、建設はこのまま進むことになりそうだが、このように地元の人たちとのトラブルを引き起こすようなプロジェクトが、中国絡みでは目立つようだ。

こうしたことを受けてか、ジョコ大統領は、中国との距離を取る路線に舵を切り直したと見られる。

第一期政権の主要閣僚で、中国との関係が極めて強いことで知られたリニ・スマルノ国営企業相が、10月に発足した第二期政権では閣外に去った。

高速鉄道計画においても、中国企業が受注したジャカルターバンドン間よりずっと長い、ジャカルタースラバヤ間(全長720キロ)については、日本側が受注することになった。

インドネシアのナトゥナ諸島の沖合には、中国が公然と漁業権を主張し、中国の漁船が中国海警局の警備艇を伴いながら操業することが、問題視されている。

インドネシア政府は、このナトゥナ諸島を、インドネシアの海洋権益を中国の脅威から守る砦として位置づけ、軍備を増強しているのだ。

ジョコ大統領は茂木外相との会談で、魚市場を整備したいと、日本にこのナトゥナ諸島への投資を要請した。

ナトゥナ諸島に日本を絡ませることで、中国に対する牽制を行っているのは、明らかだ。

さらに、今回の新型肺炎に対する対策でも、インドネシアは中国に対して手厳しい対応を取っている。

インドネシアは2月5日から、中国発の定期航空便の全面的な乗り入れを禁止し、中国人観光客や過去14日間に中国を訪問したことのある外国人の入国も制限した。

それだけではない。

中国からの鮮魚の輸入についても、当面の間は全面禁止にしたのだ。

さらに食料の原材料についても、中国からの輸入を一時的に見合わせる方針を明らかにした。

食材の輸入をストップするなどは、中国との感情的なしこりを作ることになり、中国との力関係から考えてやりすぎではないのかとも思えるが、ジョコ大統領はこういう方針で動いているわけだ。

ここまでインドネシア政府が強硬な対中政策を打ち出すようになった背景に、アメリカが絡んでいるのかどうかは私にはわからないが、そうとでも思わないとなかなか理解できないような動きが、いまインドネシアで起こっている。

この新型肺炎の騒動が長引き、サプライチェーンの組み換えが起こり、脱中国の受け皿になることが国益につながると考えているのだろうか。

中国の力はここまでであり、今後はその勢いを失うと、ジョコ大統領は恐らく考えているのであろう。

インドネシアが今回明瞭に示した脱中国的姿勢が、今後ASEAN諸国の中で徐々に共有されていく流れができそうだ。

そこに日本がどう絡んでいくのかは、今後の東アジア、東南アジアの行く末を占う上で、極めて重要になるであろう。

※ 日本再興のために、以下のバナーをポチッとしていただけると助かります。


人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!

ネタ元になるJBPressの記事
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59272?pd=all

ネタ元になるサーチナの記事
http://news.searchina.net/id/1685994?page=1

ネタ元になる出島ニュースの記事
https://www.digima-news.com/20200110_56538

無料メルマガ

最新情報やプレゼント特典などをメール配信しています!メルマガでのみ公開しているネタあり!今すぐ無料登録しましょう!

ピックアップ記事

  1. 北朝鮮漁船と水産庁船の衝突 ようやく映像公開へ! 日本政府の対応には不信感がいっ…
  2. 朝鮮半島の南北問題が駄目になっているのは米韓同盟があるせいだ」と韓国政府が発言!…
  3. インドで爆発するコロナ感染! 冷淡で信頼を失ったバイデン政権!(朝香 豊)
  4. 笑えないレベルにまで向上した北朝鮮のミサイルシステム
  5. ファイザーワクチンが南ア変異株に弱いだって? リアルデータから検証しよう!(朝香…

関連記事

  1. 安全保障

    中国の統計は信用ならない! あのイランも言い出す!(朝香 豊)

    人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!イラ…

  2. 安全保障

    不良品でヨーロッパで信頼をなくす中国! 新型コロナの医療物資!(朝香 豊)

    人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!すで…

  3. 外交

    文大統領、IOC会長との会談で東京五輪での旭日旗使用の懸念を表明へ (朝香 豊)

    韓国の文在寅大統領は、国連総会に出席するためにニューヨークを訪…

  4. 安全保障

    「クリーン・ネットワーク」で中国排除! ポンペオ米国務長官!(朝香 豊)

    人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!…

  5. 安全保障

    コロナ騒ぎのどさくさ狙った、英半導体大手の中国完全乗っ取り計画! 失敗!(朝香 豊)

    人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!英半…

  6. 安全保障

    ソレイマニ暗殺で、却って緊張は低減する! 私の独断!(朝香 豊)

    人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!日本…

無料メルマガ

おすすめ記事

アーカイブ

  1. 経済

    景気悪化に苦しむ韓国! 2年間で資金繰りが苦しいと答える経営者が2割増加。(朝香…
  2. 安全保障

    国防権限法案2020について、米上下両院が合意!(朝香 豊)
  3. 未分類

    バイデン「黒書」がついに公開へ! トランプーバイデンTV討論の直前!(朝香 豊)…
  4. 安全保障

    ソレイマニ暗殺で、却って緊張は低減する! 私の独断!(朝香 豊)
  5. 安全保障

    「チャイナ・ウイルス」の本がアマゾンで発売禁止に! 中国の圧力か? (朝香 豊)…
PAGE TOP