EUは10月11日から、重要領域の保護を目的とした外国直接投資(買収)の審査制度を全面的に強化した。
同制度はEUにとって戦略的に重要な産業分野に対する投資を、安全保障の視点から精査し、危険な投資は排除するものだ。
名指しはしていないが、主として中国企業を念頭に置いて、投資を通じて主要技術を獲得するのを阻止することを目的としているもので、中国に対する警戒をさらに強めた形だ。
以前から中国企業は欧州企業の買収を通じて重要な専門技術を獲得してきた。
その後に不当な低価格での類似商品やサービスの販売を中国が行い、欧州の競合企業を一掃してから価格を引き上げられるような目に遭ってきた。
この結果、欧州から技術が単に流出するだけでなく、欧州に蓄積されていたはずの技術が枯渇していくことにもなる。
こうした被害は欧州だけで発生しているわけではない。
アメリカでも日本でも同様の被害が生じてきた。
そしてアメリカでも日本でも、こうした被害を抑制するための法的処置を強化している。
だが、現状で日本の対応はまだぬるいと言えるだろう。
例えば、事後に問題が発覚した場合に、日本では指定業種を限定しているので、その業種から外れた企業については、いくら問題が大きいと判断しても対処のしようがないことになる。
アメリカでは特別に指定業種を定めず、安全保障上重要だと判断すれば、どの業種のどの企業でも事後対応ができるようになっている。
外国投資を萎縮させたくないという意図が絡んでいるせいだが、もともと日本は世界最大の債権国であり、そこまでして外国投資を呼び込む必要はない国である。
こうした点を踏まえて、日本の制度をさらに強固なものへと変えていくべきではないかと、自分は考えている。
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