岸田内閣が来年2月に中国で開かれる北京五輪・パラリンピックについてようやく態度を表明した。松野博一官房長官が「政府代表団の派遣は予定していない」と定例会見で述べたのである。このことを岸田内閣が事実上の「外交的ボイコット」に踏み切ったということだと一般には報道されているが、私はこの報道に今ひとつ釈然としないものを感じる。
そもそも今回の表明には岸田内閣から「外交的ボイコット」だという言葉自体がない。あくまでも「政府代表団の派遣は予定していない」とのみ答えているにすぎない。夏に行われた東京オリンピックに対しては、中国も感染状況を理由として政府代表団を送っていない。中国は別に日本に対して「外交的ボイコット」として派遣しなかったわけではないだろう。その位置付けと同じ対応だという言い訳を中国にしたいのがミエミエなのはどうなのかと思うのである。
松野氏は「政府代表団の派遣を見送ったのは、中国当局による香港や新疆ウイグル自治区などでの人権弾圧を踏まえた対応か」を問われた際に、「国際社会の普遍的な価値である、自由、基本的人権の尊重、法の支配が中国でも保障されることが重要だと考えている」とした上で、日本政府の対応については「総合的に勘案し、自ら判断を行った」と説明した。この松野氏の発言は、人権を全くどうでもいいと思っているわけではないという程度のことしか事実上表現されておらず、中国の人権状況に対する非難は実際には入っていない。香港で起こった想像を絶する人権蹂躙を目の当たりにしながらも、この状態を重大な問題として扱わない姿勢を岸田内閣は事実上選択したと言われても仕方ないだろう。ウイグルについては報道もされないゆえにさらにひどい状態であるのは明らかだ。これは香港の人たち、ウイグルの人たちに対する裏切りではないのか。
日本は対中制裁を意識した「人権マグニツキー法(人権問題制裁法)」とか「ウイグル強制労働防止法」といったものすら作っていない。国会での対中非難決議すら、驚くべきことに与党の反対で通すことすらできなかった。世界の先進国の中でも日本の中国対応はあまりにもぬるいと言わざるをえない。
さらに言えば、東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長や日本オリンピック委員会の山下泰裕会長、日本パラリンピック委員会の森和之会長が出席することも併せて発表されている。これなども「日本は中国との関係を大切に思っていますよ」という媚びではないのか。橋本氏、山下氏、森氏らについても、「人権を重視する立場から、現在訪中しないように説得している」くらいの姿勢は見せるべきではなかったのか。最終的に3氏が訪中する選択を止められる立場にないとしても、政府としては筋を通したという姿勢は見せるべきだっただろう。
さて、岸田総理は「国益」を考えていると述べているが、その「国益」は少なくとも10年後や20年後の日本を見据えているものなのだろうか。岸田総理が口にするような「国益優先」の選択を日本が今後10年続けていった場合に、日本は中国の属国としてしか生き残れないということになっていないだろうか。「国益」とは10年後、20年後に日本が世界の中でもっと輝く立場にいることではないのか。さらに遠くの未来の50年後、100年後といった方がいいかもしれない。そこまで見据えたものが「国益」なのであって、目先のトラブルを避けるレベルの話を「国益」という言葉で語ってもらいたくないのだ。
さて、中国でオリンピックを開催して、中国の人権状況に抗議の意思を表す選手が出てきても身の安全は間違いなく確保されるのだろうか。その保証をIOCは確約できるのだろうか。それともそういう選手の自由意思を今回のオリンピックでは抑え込むのだろうか。
IOCに対してこうした懸念を確認する作業は揺るがせにできない。水面下でもいいから、日米欧が連携してIOCに問いただすような動きを岸田政権は示せないものか。話は選手たちの身の安全に関することである。
あるいはオミクロン株の世界的な感染広がりを考慮して、五輪・パラリンピックの1年延期を提案するようなことがあってもいいのではないか。
岸田政権にはもう一段の踏み込みを是非ともお願いする。
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産経新聞の記事
https://www.sankei.com/article/20211224-BKHQFLHDJVPYNBAPT7YYIUDN6I/
五輪の画像
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211208/K10013379131_2112072122_2112072210_01_02.jpg
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