インド政府のサイバー・コーディネート・センターおよびコンピュータ緊急対応チームは、ビデオ会議アプリ「Zoom」のセキュリティ上の脆弱性について政府に警告した。
これを受けて、インド内務省は、情報処理の安全に懸念があるとして、「Zoom」の公的使用を禁止にした。
「Zoom」は、会議内容が参加者以外に絶対に漏れないよう、通信データの「エンドツーエンド(E2E)の暗号化」を行っていると謳ってきた。
しかし実際には、Zoomの管理サーバ上では、データの暗号化を解いて中身を参照できる状態になっていた。
カナダのトロント大学のインターネット研究機関シチズン・ラボは、「Zoom」が標準外の暗号化方式を使用しており、中国にデータを送信していることを指摘した。
標準外の暗号化方式を使用し、中国に置かれているデータ管理サーバで、データの暗号化を解いて中身を参照できるというのがどれほど危険なことかは言うまでもないだろう。
こうした内実がわかるようになって、台湾政府も「Zoom」の公的使用の禁止を決めた。
シンガポールでも、公立学校での「Zoom」の利用を中断した。
コネチカット、ニューヨーク、フロリダを含む複数のアメリカの地方検察は、「Zoom」のプライバシーとセキュリティ慣行を調査している。
「Zoom」の株主は、セキュリティの脆弱性や許可のない第三者への利用者情報漏えいで、同社を証券詐欺で提訴した。
なお、「Zoom」はよりセキュリティ性の高いビデオ通話のエンドツーエンド(E2E)暗号化に取り組むとしているが、創業者が中国出身で、中国で合計約700人の従業員がアプリの開発に携わっているこの会社で、どこまで中国政府の意向に逆らえるのかは疑問だろう。
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