米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長は、南北戦争当時の南部連合の指導者にちなんだ米軍基地名の見直しを求める考えを明らかにした。
奴隷制維持を掲げた南部連合の将軍らの名前を冠した米軍基地は現在10か所あるが、黒人男性ジョージ・フロイド氏の死をきっかけに「黒人の命は大切」(BLM : Black Lives Matter)運動が全米に広がる中、改称を求める声が高まっている。
現場を預かる指揮官の立場からすれば、黒人の軍人を数多く抱える中で、BLM運動の広がりが悪影響を及ぼしている状況を何とかしたいということは理解できる。
だが、この対応方法には自分としては賛同できない。
南部連合の将軍の代表といえば、リー将軍だろう。
そこでここではリー将軍がどういう人であったかを記しながら、この問題を考えたい。
リー将軍はリンカーン大統領から北軍の司令官になってもらいたいと依頼されながら、断った経緯を持つ人だ。
リー将軍は奴隷制には反対の考えを持っていたから、奴隷制が南北対立の唯一絶対の基準であったならば、南部の側に立つことはしなかったであろう。
だが、実際にはそうではなかった。
保護貿易の方が都合のよい北部と、自由貿易の方が都合のよい南部との争いという側面も強かった。(詳細は割愛する。)
また、中央集権的機構を強めて全体的な統制を進めたい北部に対して、各州の独立性を尊重したい南部との争いという側面も強かった。(詳細は割愛する。)
北部は自分たちが人口の面で優位であることを利用して、北部勢力を強化できそうな対策を講じていた。
フランスからルイジアナを買収し、メキシコから「独立」したテキサス共和国とカリフォルニア共和国をアメリカ合衆国に編入させ、これらを北部側に付けることを行なっていた。
北部は人口が2200万人であるのに対して、南部は白人が500万人、黒人が400万人で併せて900万人という構成になっていたから、南北戦争を行なっても南部が勝つのは非常に難しかったわけだが、北部側のやり口が一方的に北部を利するための強引なやり口に思われ、許せない思いを募らせていたたわけだ。
北部側が南部の経済の事情を無視して保護貿易を進めていることにも、数の力を頼みに中央集権的性格を強めていくことにも、南部の反発は極めて強かった。
そのため、南北戦争という戦いに最終的にはなっていったわけだ。
人口構成からもわかるように、南北戦争においては北軍が圧倒的に優位だともともと見られていた。
北部は既存の政府機構をそのまま使えばよく、軍隊もそのまま継承すればよいだけであったのに対して、南部は政府機構を一から作らなければならず、軍隊もそもそも武器を集めるところから始めなければならなかった。
戦争ともなれば、中央集権的な北部の方が圧倒的に有利であるのは当然だ。
だから、リー将軍が自らの保身を真っ先に考えるならば、リンカーンからの北部司令官の就任要請を引き受けるのが「正しい」ということになっただろう。
だが、リー将軍は南部のバージニアの出身であり、郷土愛が強かった。
そして南部の人たちが北部に対して抱く不満の理由にも十分理解を示していた。
その結果として南軍側につくことを決め、圧倒的に不利であった南軍を盛り立てて、北軍に対して互角に近い戦いを挑んだのである。
南軍が壊滅的なダメージを受けた後に、ゲリラ戦を続けたいとする意見を退け、投降を呼びかけたのもリー将軍だった。
こうしたリー将軍の生き様や、南北戦争を引き起こした様々な要因は、真剣に見つめ直す価値がある。
米軍がこうしたことを内部でどう扱っているのかはわからないが、軍人たちをしっかりと教育してそれぞれに考えさせることにあまり力を注いでこなかったのではないだろうか。
偉人か偉人でないかを、一面的な基準で判断するのを許すのは、決して正しいことではないだろう。
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