外交

進む中国のリトアニアいじめ! 徐々に広がる反発!(朝香 豊)


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EUに加盟しているリトアニアが「台湾代表処」という名称の「台湾」の名前を付けた台湾の出先機関の開設を認めたことから、中国はリトアニアいじめをどんどん強めている。

中国はリトアニアに置いてある大使館を「代辦処」(臨時代理大使事務所)に格下げし、「大使」を引き上げ、「代理公使」に2段階格下げした。さらに中国滞在ビザの発給まで停止させた。

駐中国のリトアニア外交官と家族らは中国当局から外交特権の剝奪をちらつかされて、全員帰国した。外交規定の国際条約である『ウィーン条約』違反である。

中国はリトアニア製品の通関手続きができないようにして事実上リトアニアからの輸入を禁止した。それだけでなく、リトアニアで製造した部品を搭載したものについても中国は輸入を拒絶する姿勢まで見せている。

さらに在バルト諸国ドイツ商工会議所までもが、リトアニアにあるドイツの子会社が危険に直面しているとリトアニア政府に警告し、リトアニアが中国との関係改善を図らないのであれば、リトアニアにあるドイツの工場は引き上げざるをえないとの姿勢を示した。

リトアニアは国内からも追い込まれている。

リトアニアのアダムクス元大統領は「(台湾当局を)認めるかどうかというのは、まず全世界が決定することであり、特に影響力のある主要国家が決定するべきだ。リトアニアのような小国のすることではない」と主張する。最大野党「リトアニア農民・緑の連合」のカルバウスキス党首も政府の対中国政策がリトアニア経済発展を妨害すると批判した。リトアニア社会民主党のブリンケヴィチューテ党首も、政府の決定が今年のリトアニア経済に大きな損害をもたらすと非難した。

12月の民意調査によると、リトアニア国民の政府支持率は17.3%にまで落ち込んだのに対して、不支持率は47.8%になっている。ソ連邦に組み込まれて苦しんだ経験を持つリトアニアではあるが、親台湾政策によって経済的に追い詰められていることへの国民の反発はかなり大きい。

こうした中で一旦認めた「台湾代表処」の名称を取り下げる方向での検討も始まっている。

リトアニアのランズベルギス外相は「企業は制裁が加えられるなど中国からの経済圧力に直面している。国際法に基づかず権威主義に基づく力の支配は許せない。これに屈すれば、中国の圧力が効果的であることを意味してしまう」と述べて、抵抗姿勢を示している。ランズベルギス外相は「台湾代表処」の名称の取り下げについても「台湾人代表処」に変えるという提案で何とかしのごうとしている。これであれば英語名では同一のままでいいという奇策だが、現実には厳しいところに追い込まれている。

こうした中で台湾政府はリトアニアを何とか支えようと必死である。リトアニアの産業への投資と相互貿易を促進するための2億ドル(220億円)のファンドを立ち上げ、またリトアニア企業と台湾企業の共同プロジェクトを支援するために10億ドル(1100億円)の信用制度を立ち上げることを発表した。中国が入館手続きで拒絶したリトアニアのラム酒の全量(2万本)を台湾が代わって購入することも行った。

リトアニア以外からも台湾を応援する動きも出ている。スロベニアのヤンシャ首相は、リトアニアに対する中国の圧力に苦言を呈し、台湾の世界保健機関(WHO)加盟を支持する姿勢を見せた。台湾人民が自ら未来を決定する権利を尊重すべきだとの認識を示し、リトアニアに続く形で台湾と「代表処」設置を協議していることも明らかにした。

スロバキアも台湾を支持する姿勢を強めている。昨年10月に台湾から龔明鑫・国家発展委員会主任委員(大臣)ら66人にも及ぶ訪問団がスロバキアを訪れ、7項目の覚書に署名した。これに対して12月にスロバキアからガレック経済副大臣ら43名が訪台して台湾側と9項目の覚書に署名した。これほどの巨大訪問団が双方を行き来するのは過去にはないことで、相互訪問の成果をまとめた第1回経済協力会議成果宣言が発表された。経済協力会議成果宣言は今後毎年更新される予定である。

このような中でEUにも鈍いながらの動きが出てきた。EUの執行機関であるヨーロッパ委員会は12月に中国の経済的な圧力に対して状況に応じて関税の引き上げや輸出入の制限といった通商分野での対抗措置をとる方針を示した。中国の発動する貿易規制で被害を受けるリトアニア企業への救済策として、1億3000万ユーロ(170億円)の融資を行う検討にも入った。さらに1月27日には中国がリトアニアを差別的に扱っているのは国際的な貿易ルールに違反しているとして、EUは中国をWTO(世界貿易機関)に提訴した。

ただし、EUが反中国でまとまっているとはまだまだとても言えない状態にとどまっている。欧州議会は中国のリトアニアに対する経済的圧力へ対応することをEU上層部に要請するメッセージを送ることを決定したものの、メッセージに署名した議員は700人中わずか40人に過ぎなかった。

このように強権的な中国に対してきちんとモノを言える力は世界にはまだまだないが、中国に対する反発や違和感は確実に増えている。しばらく我慢を強いられるだろうが、中国の脅しが効かなくなる段階までは意外と時間がかからないのではないかとも思っている。

そして中国の脅しが効かなくなった時こそ、中国の終わりの始まりになるのは間違いないだろう。

 
 
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