白人警官によるジョージ・フロイド氏の死亡に端を発する暴動を扇動しているとして、トランプ大統領は急進左派集団の「アンティファ」をテロ組織指定する意向を示した。
ただ、「アンティファ」はアメリカ国内に根を張っている組織であり、外国からアメリカに影響を及ぼしている組織だとは言いにくいため、アメリカの国内法の規定によれば、「アンティファ」のテロ組織指定は難しいとされている。
国内の政治勢力をテロ組織指定できるようにすると、自分の政治勢力に対する反対派にレッテル貼りすることで、簡単に排除できる可能性が開けるからだ。
例えば、「アンティファ」をテロ組織指定した場合には、「アンティファ」への支持を表明しただけでも逮捕・投獄ができるようになってしまう。
こうなると反対派を押しつぶすために利用できる可能性は極めて高いので、トランプ大統領の思惑通りにはなかなかいかないのではないかと考えられている。
そもそも、現在の民主党の大統領候補であるバイデン氏が、大統領選挙の出馬を決めた昨年の4月に、「アンティファ」を称えていたりする。
2019年4月25日付けの「デイリーコーラー」紙は、「ジョー・バイデンが「アンティファ」を称えることで、大統領選挙戦を開始」との見出しをつけて報道した。
この記事の中には、2017年にあった白人の極右層と「アンティファ」がぶつかって死者が出た事件のことが扱われている。
バイデン氏はこの時の白人の極右層を「気が狂った顔をし、人種差別主義の牙を剥いたような浮き上がった静脈をしている」などと酷評していたが、これに対して「アンティファ」については「勇敢なアメリカ人のグループ」だと持ち上げていた。
今回のジョージ・フロイド氏の死亡事件に関しても、抗議活動に参加して逮捕された人たちの保釈金を募る「ミネソタ自由基金」という団体に、バイデン氏の選挙スタッフは次々と資金を振り向けることを明らかにした。
ロイター通信によると、こういうツイートを上げたバイデン氏の選挙スタッフは13人に及ぶという。
「アンティファ」のテロ組織指定がなされれば、バイデン氏やその周囲も厳しい捜査対象になりうるわけだ。
そのため、「アンティファ」を現実のテロ組織として指定するのは難しいとは思われるわけだが、それでも「アンティファ」がかなり問題の多い組織であることは間違いない。
「アンティファ」が好んで使うスローガンに、「唯一のいいファシストは死んだファシストだ」というものがある。
このスローガンは横断幕に掲げられるだけでなく、この柄のTシャツが作られていて、「アンティファ」のメンバーは好んで着ていたりもするものだ。
ファシストだと彼らがみなす人たちは殺したほうがいいとも取れるようなスローガンを、彼らは積極的に掲げているわけだ。
このあたりは日本の「しばき隊」などと相通じるところがあるのは、容易に想像できるだろう。
そして今回のジョージ・フロイド氏の死亡事件に端を発する「抗議活動」は、この「アンティファ」とバイデン氏との関係をリアルに浮上させることになった。
「アンティファ」と民主党との関係も浮上したとも言える。
これが今後の大統領選挙戦に影響を及ぼしていくのは、確実だと言えるだろう。
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