北朝鮮東北部の咸鏡北道に病院が新設される計画が持ち上がったが、なんと地元住民からは逆に反発を買うという珍現象が起こっている。
各地にある病院、診療所には医療関係者はいるものの、医薬品は不足しており、患者やその家族が市場で購入することを強いられる状態になっているからである。さらに診察、治療を受けるにはワイロが必要となる有様である。これは必ずしも医療関係者ががめついからというわけではなく、所定の給料だけではとても食べてはいけず、ワイロを要求しないと生きていけない状態になっているからである。
今ある病院が機能していない中で、新しい病院を建てたところで機能しないのは目に見えている。新しい病院を建てるよりも今ある病院を何とかしてくれというのはもっともだ。
さて、両江道に恵山青年鉱山と呼ばれる鉱山がある。ここで掘り出した亜鉛と銅は国連安全保障理事会の制裁決議後も国境を接する中国に不法に輸出されてきた。だが、昨年の1月からコロナの流入を恐れた北朝鮮政府によって国境を閉ざされ、輸出ができなくなった。
生産が滞ったことで、食糧配給は労働者本人の分だけとなり、家族の分は出なくなっていた。坑道に入る労働者に1ヶ月少なくとも5キロのトウモロコシが配給されていたが、それも今年の4月からは途絶え、作業中に坑内で提供される食事もなくなってしまった。
この結果、労働者たちは「ネコババ」することで生活をつなぐという道を選んでいる。採取した鉱石をくすねて売り払い、生活費にしているのである。本来であればこれは重犯罪であるが、当局も黙認せざるをえない状態になっている。
また、社会的に地位が高く、福祉面でも優遇されてきたはずの退役将校にすら厳しい現実になっている。こうした福祉政策も事実上止まってしまったからだ。
2017年に退役したある将校は酒や食品を路上で売る商売で生計を立てていた。
北朝鮮では市場使用料を支払えば公認の市場で商売をすることもできるが、市場使用料を払うと利益が出ないと考える人たちは市場の外で非合法な営業を行うことになる。彼らは取り締まりがあると商品を広げた風呂敷を一気にまとめてあっという間に立ち去ることから「イナゴ商人」と呼ばれている。
こうした「イナゴ商人」に対する取り締まりが強化された結果、この退役将校は食べていくのに必要な収入が確保できなくなった。まともな食事にありつけなくなった一家は、暖房もされていない家でついに倒れてしまった。一家が倒れているのを人民班長(町内会長)が発見し、町内でこの一家を助けるための食料を募った。これによりこの退役将校の一家は辛うじて食いつなぐことができたようだ。
本来であれば施しを与える側にいるはずの退役将校が施しを受ける側に回ってしまったのは、北朝鮮の悲しき現状である。
さらに言えば、秋の収穫が終わったばかりの時期でのこの貧苦は異常である。北朝鮮では「春窮」といい、春になってくると蓄えた食べ物がなくなり、食糧不足が表面化するのが普通である。来年の「春窮」がどんな地獄になるのかを想像すると恐ろしい。
こうした中で、資本主義の豊かさに触れることは御法度になる。北朝鮮では韓国のK-POPの動画を視聴したことで処刑されるような悲劇も生まれている。
資本主義という経済システムがいかに優れていて、社会主義という経済システムがいかにとんでもないものなのかということを、こういう事例から真剣に学ばなければならない。
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北朝鮮の飢餓の画像
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