河野太郎氏が自民党総裁選挙への出馬会見を行った。高市早苗氏が具体的な政策論を展開したのに対して、河野氏は「日本を前に進める」という抽象的・理念的なところにとどまり、具体論への論及がほとんどない会見となったことに、大いに不満を感じた。
記者会見では数多くの質問が飛んだが、河野氏はこれらについてもあまり具体的な話に踏み込まずに曖昧な回答をすることが極めて多かったことは指摘しておきたい。
例えば、日本自動車工業会の豊田章男会長から「一部の政治家から全て電気自動車にすればいいという声を聞くが、それは違う」との発言があったことを引き合いに、CO2排出ゼロを目指す政策との絡みを尋ねられたところでは、日本の自動車メーカー各社がそれぞれの戦略に基づいて成功することを祈りたいとの回答を行った。日本政府は極端なCO2削減を推し進めるような政策を展開している一方で、これによって大打撃を受けそうな自動車産業をはじめとする製造業を支えていく政策的手当を全く考えていないということなのだろうか。
積極財政の可能性について問われたところでは、現下にデフレギャップがあって財政出動の必要性があることは認めながらも、何に財政を向けるかについては今後議論する必要があると述べるにとどめ、財政政策によってどのような進路に日本を導いていくのかについての回答はなかった。財政政策の規模感について尋ねられた時にも、これからまだ勉強したいとして、具体的な回答を避けた。
河野談話の見直し、上書きの可能性について尋ねられると、これまで自由民主党政権が継承してきた歴史認識を受け継いでいきたいとだけ答えた。極めて曖昧なものであり、少なくとも河野談話を積極的に上書きする意思はないということだろう。
韓国の記者から近隣諸国に対する外交政策を尋ねられた時には、よちよち歩きであっても同じ方向を向いている国にはしっかりと寄り添える日本でありたいと答えた。これまた極めて曖昧な答であるが、韓国の異常な反日に原則的に対応する意思はないことを示したのではないかと懸念される。
森友の再調査の必要がないと断言したが、それでは国民の納得が得られないのではないかとの質問に対して、検察・司法が動いているものであるからとの返答を河野氏は行っていた。この回答は実に大きな問題を含んでいると私は思う。異常なマスコミ報道で多くの国民が今なお森友問題に関して安倍前総理が疑惑隠しを行っていると疑っているからだ。
大マスコミはあまり大きくは報道していないが、「赤木ファイル」には「(森友学園を)現場として厚遇した事実もないし、(会計)検査院等にも原調書のままで説明するのが適切」であるから、「修正に抵抗」したと記載されていて、マスコミが騒いできた「安倍総理に対する忖度」などまるでなかったことは既に明らかになっている。国民が最も知りたい「疑惑」の核心はこの部分であるのに、このことを河野氏はこの場ではっきりと言わなかった。この点で河野氏は歪んだ報道を行っているマスコミに妥協したと言われても仕方あるまい。
プライマリーバランスについて尋ねられたところでは、コロナ禍の中では様々に議論していかなければならないとの返事であった。これも逆に読めば、コロナ禍が過ぎればプライマリーバランスは当然問題になるとの認識なのだろう。
こうした中、質問を受けてかなり具体的に答えていた数少ない例外は、原発についてである。「原発ゼロ」を唱えていたはずが、急激に原発容認に転換したことについて尋ねられて、脱化石燃料の動きの中で再生可能エネルギーだけでは電力は賄えないので、原発の再稼働はせざるををないという返答を河野氏は行った。これは原発の再稼働は認めるが、新増設は認めないと捉えるべきであろう。実際、別の質問に答える形で、原発の新増設は現実的ではないとも述べた。これは大問題である。
今後は電気自動車の普及もあり、AI化の進展もあり、データセンターなども増えていくのは必然で、相当に電力消費量が増えていくのは間違いない。この増大する電力について、化石燃料を認めないという前提を置いた場合に、原発の新増設を認めない中でやっていくというのはあまりに非現実的だからだ。
他の面で詳細に答えていたのは地方創生についてである。ただ回答の方向は明らかにおかしかった。電子レセプトが進展し、今後これがAIで処理されるようになると、レセプトの審査のために人材が一箇所に集中する必要がなくなるといった話をしていたからだ。これは世の中はこういう方向に進んでいくというトレンドについて話しているのであるならわかるのだが、政策論として語るべきこととは別次元のものだろう。
また、この地方創生に関連して、中央と地方との権限の分担の問題について問われた時に、河野氏は中央が細かいことを決めすぎていることを挙げ、大まかな部分を決めたらあとは地方が地方の実情に応じて柔軟に対応できるようにすべきであり、地方に裁量と財源を渡していくべきとの答をしていた。これについては割と納得のいく回答をされていたと思う。
というわけで、地方への権限委譲についての議論を除けば、具体性に乏しく、あまり内容のある出馬会見ではなかったというのが私の評価だ。中身の詰まった会見を行った高市早苗氏とは雲泥の差ではないだろうか。
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河野太郎氏出馬会見の画像
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