トランプ政権の安全保障担当の大統領補佐官を務めたマット・ポッティンジャーは、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に2013年に習近平が行った演説内容を明らかにした。これは中国共産党の中央委員会のメンバーに向けたもので、一般に対して公開されているものではない。
この演説で習近平は以下のようなことを述べている。
共産主義は幻想に過ぎないと考える人がいる。だが、資本主義社会の基本的な矛盾についてのマルクスとエンゲルスの分析は時代遅れにはなっていない。資本主義は必ず滅び、社会主義が必ず勝利を収めることは必然的な流れである。この道は曲がりくねっているが、それでも最終的に資本主義の滅亡と社会主義の勝利に至るだろう。
習近平は共産主義中国の最終的な勝利を信じ、そのための戦略を考えて動いているのである。
ポッティンジャーによれば、習近平がアメリカのビジネスマンに送っているメッセージは、間違いなく以下のようなものだという。
中国でビジネスをしたいのなら、アメリカの価値観を犠牲にしなければならない。中国内部の少数民族や宗教的少数派の大量虐殺を細心の注意を払って無視するのだ。香港の「高度な自治」を保証する国際条約などの主要な約束を中国が放棄したことも無視しなければならない。アメリカの価値観を取るのか、中国共産党の価値観を取るのかを選ばなければならない。
ダボス会議に出席した習近平は、欧米の政界が中国を経済的に切り離そうとしていることに抵抗するようにビジネスエリートたちに求めた。習近平は米中の経済・貿易上の協力関係を促進するための積極的な努力を払うように、アメリカの著名なビジネスマンたちに個人的な手紙を書くことも行っている。
中国の外交トップの楊潔チも習近平と同様の動きを見せている。2月初旬に楊潔チは、米国のビジネスリーダーらに向けて、中国での投資や貿易活動についてのバラ色の絵を描いてみせたが、その一方で、チベット、新疆ウイグル自治区、香港、台湾は「レッドライン」であり、触れてはならないとの警告を行った。
さて、ポッティンジャーが述べていることは日本にも当然当てはまる。西側が大切にしてきた自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった価値観に沿った社会を大切にしていくのか、それとも目先の経済的利益を優先してそうした価値観を潰そうとしている中国共産党の価値観をより上位に置こうとするのか、日本の経済人はまじめに考えなければならない。
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習近平の画像
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