ブラジルのボルソナロ大統領が、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するために取られている封じ込め措置について、激しく非難している。
ブラジルではサンパウロ州やリオデジャネイロ州が企業などの閉鎖処置をすでに取っているが、これが経済に壊滅的な打撃を与えることを問題視しているのだ。
ボルソナロ大統領は、「企業は何も生産していない。従業員に賃金を支払うこともできない。そして経済が破綻すれば、公務員に給与を支払うこともできなくなる。われわれは無秩序に直面する」と述べた。
これに対してブラジル国内のリベラル派からは非難が殺到しているが、ボルソナロ大統領の問題提起は至極もっともだ。
企業に営業休止を求めて、その代償として政府が休業補償を行うような真似は、自国通貨が世界的に通用するハードカレンシーであるか、外貨準備に余裕がないと難しい。
ブラジルの通貨レアルは、この新型コロナウイルスショックで急激に弱くなっている。
ブラジルに投下されてきた資本が一気に回収されているからだ。
経常収支の赤字と莫大な対外債務に苦しんでいるブラジルには、経済を休ませている余裕はない。
政府が休業補償を行うようなぜいたくは許されないのだ。
営業停止だけ命じて、給料は支払われないということになれば、どうなるか。
「スーパーマーケットの略奪といった事態に陥る恐れがある」「ウイルスに加えて無秩序にも直面することになる」とボルソナロ大統領は言うが、まさにそうなるだろう。
「人々を職場に戻し、高齢者や健康上の問題がある人々を守る。それだけだ」とも述べているが、これしか現実的な対応策はないのだ。
感染対策としてそんなやり方で十分なのかといえば、当然そんな訳はない。
若年層でも重体化することは当然あるし、高齢者などへの感染が十分に防げるとは到底考えられない。
それでもその道を選ぶしかないというのが、ブラジルの現実だろう。
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