ソレイマニ司令官の暗殺の「報復」として、イランがアメリカ軍の拠点を攻撃したことを受けて、アメリカのトランプ大統領は演説を行い、アメリカ人兵士らに死傷者はいなかったとし、イランによるさらなる攻撃の可能性は低いとの考えを示した。
イラン国営通信は80人が死亡したと伝えているが、これは国内向けのメンツを重んじた「宣伝」に過ぎず、事実とは異なるとみるべきだ。
イランはミサイル攻撃という派手に見える手法を使いながら、大きな被害が出ない着弾地点を敢えて選んだことが伺える。
内容はわからないが、イラン政府がアメリカ側に書簡を届けていたことも明らかになった。
事態の悪化を望まないイランの本音が記されていたのではないかと推察する。
なお、イランの最高指導者ハメネイ師は、このミサイル攻撃は米国への「平手打ち」だとし、米国は中東から軍を撤収すべきと主張している。
メンツを重んじるイランからすれば、こう言わざるをえないのだが、一方これに応えたようにトランプ大統領が振る舞うのは、決して難しいことではない。
なぜなら、シェールオイルの開発に成功したアメリカは、今や世界最大の産油国であり、もはや中東の石油を必要としない国になっているからだ。
トランプ 大統領は今回の演説の中でもこの点について触れ、これまでアメリカが中東で果たしてきた役割をNATOが代わりに担うことを求めた。
つまり、アメリカの中東からの撤収は、アメリカの既定路線なのであり、ハメネイ師の求める路線はもともとこれと矛盾しないわけだ。
以上を踏まえると、トランプ大統領が「イランは今のところ矛を収めているようだ。それはすべての関係者にとっても世界にとってもよいことだ」、「われわれは強力な軍や装備品を持っているが、使いたくはない」、「アメリカは平和を追求するすべての人々とともに、平和に身をささげる準備ができている」と述べているのは、非常に理解しやすいのではないだろうか。
トランンプ政権としては、米軍の中東からの撤退を「取引」材料としつつ、「核合意」を実質的にイランに核開発を断念させるものに引き上げさせることを、基本路線にするのだろう。
そして、核開発の断念のレベルによって、経済制裁を徐々に緩和し、アメリカがイランの敵ではないことを理解させ、イランを徐々にアメリカの勢力圏に取り込んでいくということを、トランプ大統領は長期的な戦略として描いているように、私には感じられる。
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これのネタ元のNHKの記事
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200109/k10012239471000.html?utm_int=news_contents_news-main_001
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