ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン事業「ノルドストリーム2」に暗雲が漂っている。
ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプラインはすでに1本目の「ノルドストリーム」は完成しているが、新たなパイプラインの「ノルドストリーム2」も完成間近となっていて、年内にも完成するのではないかと見られていた。
これが完成すると、ドイツは安価な天然ガスを安定的・継続的に入手できると同時に、ドイツから他のヨーロッパ地域に天然ガスを供給する立場からも利益を得られることになる。
LNG船にわざわざ液化して積み込まなくてもいいので、コストが大きく引き下がることになる。
つまり、ドイツには経済的なメリットが極めて大きい事業である。
一方、ロシア依存が急激に高まることにより、いざという場合にロシアからのガスの供給を止められた場合の対応が難しくなり、安全保障上の問題が大きいとも目されていた。
もちろん、販売側のロシアには多大な利益がもたらされることになる。
ロシア政府が毒薬のノビチェクを使って反体制派指導者のナワリヌイ氏を毒殺しようとした疑惑が大きくなる中で、ロシアに対して経済的な利益が大きいこの「ノルドストリーム2」を完成させてよいのか、完成させたとしてもガスの供給は止めるべきではないかという議論が、ドイツで起こってきたわけだ。
ドイツのマース外相は、このナワリヌイ氏の毒殺未遂事件への捜査にロシア政府が協力するかどうかを見極めてから「ノルドストリーム2」をどうするかを考えるべきではないかと提起した。
メルケル首相は頑なに「ノルドストリーム2」推進の立場をとってきたが、身内からも疑問の声が出てきた格好だ。
ロシア政府が捜査協力に消極的な態度を示した場合に、メルケル首相は厳しい立場に追いやられる。
メルケル首相はフォルクワーゲンを中国の銀行に救済してもらっていることもあり、中国に対しても対応が弱いことが批判されている。
このロシアの事件とも絡まる形で、目先の経済的利益を犠牲にしながら西側の価値観を大切にする立場に立つのか、それとも西側の価値観に目をつぶりながら経済的利益を優先させるのかという点での問いかけは、今後どんどん強まっていくことが予想される。
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ネタ元のブルームバーグの記事
https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-09-06/germany-s-top-diplomat-warns-russia-over-gas-pipeline-stance?cmpid=BBD090620_MKTJP&utm_medium=email&utm_source=newsletter&utm_term=200906&utm_campaign=marketsjapan
YouTubeのサムネイルからの引用画像(Nord Stream 2)
https://i.ytimg.com/vi/8Qh1EOI5TBs/maxresdefault.jpg
The Guardianからの引用画像(ロシアの反体制指導者のナワリヌイ氏)
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The Big Smokeからの引用画像(毒薬のノビチェク)
https://www.thebigsmoke.com.au/wp-content/uploads/novichok-nerve-agent.jpg
DWからの引用画像(マース独外相)
https://www.dw.com/image/38064660_303.jpg
Quartzからの引用画像(独メルケル首相)
https://cms.qz.com/wp-content/uploads/2018/11/RTS25SOC-e1542123771460.jpg?quality=75&strip=all&w=1600&h=900&crop=1
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