深圳の一流地区のマンション価格が日本円で1億円ほど値下がりしたことが話題となっている。中国のマンション価格には、ロケーションの利便性だけでなく、その地区に一流の学校があって進学に有利かどうかということも大きな影響を受ける。この地区には「深圳実験小学校」「深圳実験中学校」という、他の学校にはない先進的な教育を実験的に行う学校があるというのが、この地区の特徴になっている。あまりにも高級地区なので「エルメス」と呼ばれることもある地区だ。ここにある127.82平米のマンションが大幅に下落したのである。
この物件はアリババ系列のオークションサイトで競売に掛けられて、2206万元(3億5000万円)で落札された。実は同様の物件は今年2月にも売買があり、その時の取引価格は2868万元(4億5000万元)だったので、662万元(1億円)の値下がりがあったということになる。この物件は差し押さえの物件であり、売り主が売り急いだという事情がある。かつて飛び降り自殺があった部屋だそうだが、但しそれも10年前の話だ。従ってそういった事情が関わっているとしても、この値下がりは衝撃である。
深圳では2月に「中古住宅取引の参考価格公表メカニズム」制度が発表され、不動産価格を強力に抑制する策が実施された。これはそれぞれのマンションについて売買の「参考価格」を政府が決定することで、不動産価格を強引に抑え込もうという政策だ。この政策が実施されてから、中古マンションの売買はほとんど動いていない。値下げをしないと売れないのであれば、手放さない人ばかりだからだ。2月に売買された類似物件は恐らくこの参考価格公表メカニズムの発表前に取引が行われたものだと思われる。
さて、深圳市人民代表大会は4月下旬に、陳如桂深圳市長の辞任申し出を認めると発表した。自ら辞任するという形式ではあるが、事実上の更迭であるのは間違いない。「家は住むもので投機対象ではない、とする政府方針を守れなかったことが要因」だとされる。つまり、投機的需要によって住宅価格が高騰することを容認したとされ、その責任を問われた形になっているわけだ。
中国ではマンションを購入すると、収入の7割がローンに消え、残りのわずかな収入で生活しなければならなくなると言われている。こんな中では子供を生んで育てるどころの話ではなくなる。不動産価格の高騰が少子化に拍車をかける原因になっていることに、習近平政権は焦りを感じているところもあるのだろう。
こうした強力な価格抑制策が行き過ぎた価格上昇を抑えるだけでとどまるのか、それともバブル崩壊の引き金を引くことになるのかは紙一重の話である。今後の展開は要注目である。
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深圳国城花园(マンション)の画像
https://x0.ifengimg.com/ucms/2021_14/2664E719623650F7607DCA678726386D233A6684_size72_w480_h640.jpg
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