経済

DiDiへの弾圧に中国リスクを認識すべき! 避けられない米中デカップリング!(朝香 豊)


人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!

中国の配車最大手の滴滴出行(DiDi)がニューヨーク証券取引所に上場して44億ドル(5000億円)を集めた3日後に、中国のネット規制当局は「国家安全法」と「インターネット安全法」に基づいてDiDiの審査を始めたと発表した。そしてその2日後には中国当局はDiDiに関して個人情報の収集と利用に関する法律・規則の重大な違反を確認したと発表し、DiDiのアプリの配信を停止させた。16日は同社に対する立ち入り調査が始まり、中国当局によるDiDiいじめがまだまだ強められるのは確実である。この裏側には、中国の闇が隠れている。

上場翌日にはDiDiは株価が15.98%上昇して時価総額は786億ドル(8兆円余り)となり、米株式の主要インデックスへの組入れも予定されていたのが、完全に吹っ飛んでしまった。

この結末は中国政府にとって本来都合のいいものではないはずだ。トランプ政権期に外国企業の上場に厳しい基準を設けて、中国企業の今後の上場が事実上ストップしたと思われながら、結局バイデン政権はその運用を緩めて中国企業に便宜を図る方針に転換していた。ところがDiDiに対する上場直後の嫌がらせは、中国政府と中国企業の持つ独特のリスクを否が応でも認識させ、今後の中国企業の上場は極めて厳しいことになった。

トランプ政権が中国企業の上場をストップさせたのは、中国企業の会計監査をアメリカ側ができないことによる。中国のデータ安全法は中国企業が中国政府の認可なく国内の「重要データ」を海外の司法や管理監督当局に提出することを禁じている。企業会計の開示が正確になされていない企業の株式を上場してやり取りするなどあってはならない話だ。上場して資金調達を行うとすれば、企業会計の開示は投資家保護の見地から必須である。本来の安全保障という見地からすれば中国政府の方針は過剰な対応に感じるが、個別企業の決算情報を積み重ねていけば、中国経済が公式発表のように拡大していないことがバレてしまうことを恐れているのではないかと、個人的には推察している。

さて、今回の上場は習近平派と江沢民派の戦いが背後にあるとの見方がある。米証券監督管理委員会にDiDiが上場申請を行ったのは6月10日で、上場したのは6月29日であり、このスピードは異例である。これは習近平派の裏をかいて江沢民派が資金調達を行った結果と見られている。それゆえに習近平のDiDiの対する怒りは強烈で、このような厳しい動きに出ているのだというわけである。

ちなみに、アリババ系のアント・フィナンシャルの上場が上場直前になって阻止されたのも、同様の背景を持つことが指摘されている。習近平の追い落としを狙う江沢民派に軍資金を準備させるようなことは、習近平からすれば何としてでも排除しなければならないことだったということだろう。

さて、中国共産党の機関紙である「環球時報」は「いかなるIT企業も、国家よりも詳細な中国人の個人情報を保管する存在になってはいけない。自由にデータを活用する権利は、さらに与えてはならない」と報じた。中国のサイバースペース管理局は、100万人以上のユーザーデータを保有する企業は、海外で株式を上場する前に国家安全保障上の審査を受ける必要があると発表した。このことは中国企業が海外で上場することを事実上阻止するような内容だ。

2021年上半期、米国で上場した中国企業は38社で、調達金額は合計135億ドル(約1兆5000億円)にも及ぶとされる。米国市場を使った上場が中国に与えているメリットの大きさがどれほど大きいものか、わかるだろう。さらに少なくとも23社の中国企業が上場の準備中だとされていたが、こうした企業の上場は極めて困難になった。

トランプ政権が仕掛けた米中のデカップリング(経済面での切り離し)を、習近平自身が推し進めているような形になっているのである。そしてその根底には、党内の権力闘争や国家による社会主義的統制を何よりも優先する、習近平路線が絡んでいる。私が「習近平が中国経済を崩壊させる」と述べている通りのことが進行している。

企業が国家よりも詳細な中国人の個人情報を保管することを認めず、こうした情報の海外への持ち出しを禁ずるとの話は、今後中国企業だけの話ではなくなっていく。日本からの進出企業に対しても同様の規制が課されることになるのは必然だ。米中のデカップリングとは、西側と中国とのデカップリングにほかならず、この中で日本企業はどちらの立場に立つのかについて旗幟鮮明にすることが求められている。そのことに今回のDiDiをめぐる騒動は改めて気付かされたと言えるだろう。

 
 
無料のメルマガの登録をぜひともお願いしたい。(このブログ記事の下↓に登録フォームあり)

※ 日本再興のために、以下のバナーをポチッとしていただけると助かります。


人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!

diamond.jpの記事
https://diamond.jp/articles/-/276787
news.yahoo.co.jpの記事
https://news.yahoo.co.jp/articles/cce061b8107612f40e515c0d249a25cdc1969f09?page=1
www.nikkei.comの記事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM167790W1A710C2000000/
DiDiの画像
https://japan.cnet.com/storage/2021/07/06/6e95f97e37f98b38c2a99b61a1945df2/t/584/438/d/didi_1280x960.jpg

無料メルマガ

最新情報やプレゼント特典などをメール配信しています!メルマガでのみ公開しているネタあり!今すぐ無料登録しましょう!

ピックアップ記事

  1. キャリー・ラム行政長官の意味深な発言は、中国政府の思惑に制限をかける狙いかも
  2. 非常事態宣言の1ヶ月延長! ありえない! (朝香 豊)
  3. 中国が武漢P4からフランスを排除していた! 騙されたフランス!(朝香 豊)
  4. 持ち込み荷物 X線検査受けずに出国! ゴーン被告!(朝香 豊)
  5. サウジへの攻撃はハメネイ師の指示か! 私の見立て (朝香 豊)

関連記事

  1. 道理

    豪政府が中国の初動でWHO抜きの独立調査を要求! 米独仏に共同国際調査を要請!(朝香 豊)

    人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!オー…

  2. 人権・民主主義

    周庭さんは中共とつるんでいる工作員?? 冷静に見よう!(朝香 豊)

    人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!周庭…

  3. 経済

    政府は大規模減税を示唆! 新型コロナ対策で!(朝香 豊)

    人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!安倍…

  4. 安全保障

    英はファーウェイ5G参入を見直しか? コロナ情報隠蔽で!(朝香 豊)

    人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!中国…

  5. 安全保障

    中国は1月上旬に「人→人感染」を知っていた! 対外的には否定の二枚舌!(朝香 豊)

    人気ブログランキングへのご協力をよろしくお願いします!中国…

  6. 経済

    真水で10兆円の補正予算か! 国債は3年ぶりに増発へ! (朝香 豊)

    政府は、策定中の令和元年度補正予算案で赤字国債を発行する方向で…

無料メルマガ

おすすめ記事

  1. Featured Video Play Icon

アーカイブ

  1. 人権・民主主義

    狂気の中国! 習近平氏への「忠誠心」テストで落第点だと、記者証剥奪する! (朝香…
  2. 韓国・北朝鮮

    これまでの支持層でも離反続出! 文在寅政権!(朝香 豊)
  3. 経済

    人民元のデジタル通貨化に秘められた野望を見逃すな!
  4. 安全保障

    球磨川水系で甚大な被害! ダム建設を止めた勢力を曖昧にさせるな! (朝香 豊)
  5. 経済

    中国が外資の技術移転の強要はないと表明! だが、これをマジメに信じてよいのか?(…
PAGE TOP