カルロス・ゴーン被告が逃亡したレバノンでは、また反政府勢力と治安部隊が激しく激突し、400人が負傷した。
激突があったのはレバノンの首都ベイルートの中心部で、議会や政府施設のほか、欧米のブランドショップや高級ホテルも立ち並ぶエリアだ。ゴーン被告が現在住む住居からも近い。
ベイルートはかつては中東の金融の中心地だったところで、レバノン経済は今も金融に頼っている割合が大きい。
レバノンは恒常的な経常赤字国だが、高金利でオイルマネーを引きつけることで、資金を回してきた。
国内の銀行の高金利を維持するために、レバノン中央銀行が補助をして、金利のゲタを履かせることまでやってきた。
その一方で現実の国家財政は火の車で、歳出のうち本来の行政経費に費やせるのは3割に満たないとされる。
歳出の7割以上が、国家債務の支払いや公務員給与に消えるためだ。
隣国のシリア難民を大量に受け入れているのも経済的には大きな負担になっているが、そのことで国際社会から多額の援助を受け取ることができ、それにより国家経済を成り立たせてきたという側面もある。
このようにレバノンは綱渡り的な財政状況にあるが、このままでは立ち行かなくなるのは確実だ。
このため、レバノン政府は国民負担を高める政策でこの危機を乗り切ろうとしたわけだが、これに腹を立てた人たちが反政府デモに動いた。
金利の下支えをして金持ちの資金を集め、その尻拭いを一般国民から徴税してどうにかしようというわけだから、庶民の稼いだものを単に金を持っているだけの奴に献上するのかという反発が起こるのは、ある意味当然だろう。
有力者とその取り巻きだけが濡れ手で粟のボロ儲けを行い、市井の一般庶民の生活は省みられることがないと感じるわけだ。
実際レバノンでは、上位1%の富裕層が全国民所得の1/4を占め、35歳未満の失業率が40%に達するとも言われる。
貧富の差が非常に大きい国なのだ。
こういう状況の中で、抗議デモを受けて昨年10月にハリリ内閣が退陣に追い込まれた。
さて、2020年に返済期限を迎えるレバノンの債務は25億ドルで、そのうち12億ドルは3月に返済期限が到来する。
このままではこの債務の支払いは不可能であると見られている。
この状況を前に、レバノンの有力者たちは自分たちの資産を海外に移転させているとも見られている。
このようにレバノン経済は袋小路に陥っている。
現在のような激しい衝突の背景には、以上のような事情が絡んでいることを知っておきたい。
また、今の政府がいつまで続くのかはわからない。
ゴーン被告は休まらない日々を過ごしていることだろう。
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これのネタ元のAFPBBの記事
https://www.afpbb.com/articles/-/3264206?cx_part=latest
中東調査会の記事
https://www.meij.or.jp/kawara/2019_171.html
画像はBBCより引用
https://www.bbc.com/news/av/world-middle-east-51162899/lebanon-protests-anti-government-protesters-clash-with-police
https://ichef.bbci.co.uk/news/1024/branded_news/ADDA/production/_110560544_p080s4xv.jpg
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