「過去最大」を売り文句に、事業規模108兆円を謳った緊急経済対策だが、その中身には失望を禁じえない。
まず「事業規模」というのは、「民間まで巻き込んだらこのくらいの金額になるという試算」でしかなく、それだけの事業規模が必ず実現できるというものではない。
しかも、政府の負担分が「事業規模」なのではなく、民間の支出分も「事業規模」の中に入るのだ。
例えば、地元の信用金庫が事業者に1000万円の貸し出しを金利1.5%で行い、政府がこの金利分だけを負担したとする。
そうすると、政府が負担するのは1年間に15万円にすぎないが、「事業規模」は1000万円ということになるわけだ。
さらに、この「事業規模」の中には、昨年策定した経済対策の未執行分などが含まれており、今回新しく算定されたのは86.4兆円にすぎない。
さらに、企業の納税や社会保険料の支払い猶予として計上されているのが26兆円もある。
「支払猶予」というのは、「今すぐ払わなくてもいいよ」というだけで、後々には支払い義務が当然発生するが、これも「事業規模」の中に入るのだ。
経済対策の実施に伴う財政支出は39.5兆円とされていて、これが「真水」のように思われてるが、そう思うことも勘違いだ。
財政投融資という貸付に回される費用(つまり後で返済が求められる金額)がこの中に12.5兆円含まれていて、一方的な政府支出としての財政は27兆円でしかない。
さらに、昨年策定した経済対策の未執行分が9.8兆円含まれている。
予備費の1.5兆円を含めて補正予算として計上しているのは実は16.8兆円にすぎないし、実際この分だけについて国債を発行して賄うに過ぎない。
しかもこの中には、なぜか国債の償還と利払いに充てる「国債整理基金特別会計」への繰入額の1000億円が含まれている。
つまり、「念のため」に備えた予備費と国債の支払いに充てる「国債整理基金特別会計」への充当額を除けば、15.2兆円にしかならないのだ。
さらに文句を言わせてもらうと、新型コロナウイルスの感染拡大の防止や、感染拡大による経済的ダメージの保障とは全く関わらない事業項目が数多く並んでいる。
例えば、「中小企業生産性革命推進事業」(実はすでに事業対策の公募が終了していて、これからは予算執行するだけ)とか、「被災小規模事業者再建事業」(昨年襲った台風の被害者の事業再建に関わる補助金)とか、「事業承継・世代交代集中支援事業」とか、「すまい給付金」(低所得世帯が住宅を購入した時にもらえる補助金)とか、「畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業」とか、「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」とか、「先導的人材マッチング事業の創設」とか、「首都圏空港の機能強化」とか、「自然災害からの復旧・復興の加速のための公共投資」とかが含まれている。
今回の危機がどれほど深刻なもので、真剣に手当をしないと多くの国民が死んでしまうという切迫感が、日本政府にはないのだろう。
実際には新型コロナ対策としてみればスカスカの中身しかないのに、とてつもなく巨大な対策を打っているように見せかけただけにすぎないと言っても、過言ではないだろう。
この内容には、さすがに怒りを感じた。
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