京都府向日市のケースワーカーが、担当する生活保護受給者の脅しに屈し、受給者が殺した女性の死体遺棄に協力していた。
「なんで?」と首を傾げたくなる人も多いだろうが、ケースワーカーが生活保護受給者の脅しに屈するというのは、さほど珍しいことではない。
受給者の男はケースワーカーに毎日電話をかけて不当な要求を繰り返していた。
しかもその電話は毎回数時間に及んでいた。
男には傷害致死の前科が2件あり、暴力団との関係もほのめかしていた。
ケースワーカーは電話が鳴るだけで動悸を感じるようになり、男に隷属するようになった。
こういう男を怖いと思うのは、ケースワーカーだけでなく、上司も同じだ。
電話を上司が取った時に、上司は「(職員の)対応が至らずすみません」と男に謝罪しこそすれ、男の問題発言を注意することもしなかった。
ある日ケースワーカーが男から呼び出されて男の部屋に行くと、そこには女性の遺体があった。
男の交際相手で、男の暴力を受けて亡くなっていたのだ。
ケースワーカーは「(死体遺棄に)協力しなかったら、口封じのためにお前を殺す」と脅されて、死体遺棄に協力してしまった。
以上が事件のあらましである。
さて、小田原市の生活保護のケースワーカーが「保護なめんな」ジャンパーを作成し、このジャンパーを着用しながら業務をこなしていたことが問題視された事件があったことを、記憶している人も多いだろう。
報道では、小田原市は福祉に後ろ向きで、生活保護を受給させないために、申請妨害まで行って受給者の権利を不当に制限しているという感じのものが多かったように記憶している。
だが、ケースワーカーたちがみんなでお金を出し合ってわざわざそんなジャンパーを作っていたのは、そうしたくなる日常があり、それにケースワーカーがみんな共感したからではなかったのか。
今回の京都の事件が極端すぎる事例なのは認めるとしても、それでもケースワーカーが同様のゆすり・たかり・脅迫の圧力にさらされることは、決して珍しいことではないだろう。
自分の要求を通すために、無茶苦茶な要求を無茶苦茶な論理で押し通す人も、世の中には一定数は必ず存在するものだ。
さらに言えば、こうした圧力を加えてくるのは、人格的に問題がある個人だけとは限らない。
生活保護を受けようとする人たちの支援団体があり、そうした支援団体とつながりの深い政党が存在し、こうした存在もまた圧力を作り出している。
そういう団体に頼らずとも、政治家の口利きに頼る人も多い。
しかもこれらがまた100%悪いとも言えないところもある。
ケースワーカーが法の求める公正性や自己の良心のみに基づいて仕事を行うことは、実に難しいのが実際だ。
さて、京都の事件に関する検証委員会は、上司らが必要な配慮や指示・指導を行わなかったことを非難してみせた。
だが、この手の問題を上司の個人的資質のせいにするのは、正鵠を射ていない。
ケースワーカーが何らかの圧力に晒されているのは恒常的なものであり、ケースワーカーを救うためには、その現実に沿った制度的な取り組みが必要になるからだ。
ケースワーカーの住所や家族などの情報が知られてしまい、それによって脅迫を受けることだってある。
生活保護受給者や申請者を社会的弱者として見て、彼らの人権に配慮することが間違っているとは言わないが、逆にケースワーカーが社会的弱者となって、彼らの人権を守ることが生活保護受給者などより優先されるべき事態というのも確実に存在する。
従来の制度設計の中では、その発想が抜け落ちているわけであり、そこを埋めるような抜本的な制度変更を考えないと、ケースワーカーを救うことはできないのではないか。
そんなことを改めて思った次第だ。
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