イギリスの衛星通信スタートアップ企業の「ワンウェブ」が経営破綻し、米連邦破産法11条を申請した。
同企業にはソフトバンクグループが2000億円以上投資し、株式の5割以上を握る筆頭株主になっている。
「ワンウェブ」は衛星通信を使ったインターネット通信網を提供するために、70基を超える衛星を打ち上げてきた。
今後10年で6000基の衛星を打ち上げる計画を持ち、21年からの商用化を目指していた。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、市場環境が厳しくなり、ソフトバンクグループとしても金融支援は困難だと判断したとされているが、それが具体的にどういう事態を表しているかを考えたい。
ソフトバンクグループは株価が急落しており、これに対して出資者の不満が高まっていた。
そのため、ソフトバンクグループは、最大4兆5000億円の資産売却を行い、最大2兆円の自社株買いをすると発表した。
資産売却が順調に進むのなら、ソフトバンクグループが「ワンウェブ」の救済資金を売却資産から充てるのは、さほど難しいことではなかっただろう。
自社株買いには当面はまずは5000億円だけ使うとしているので、4兆5000億円の資産売却のメドが立つなら、キャッシュフローはさほど問題ではなくなるはずだ。
だが、4兆5000億円の資産売却が現実にはスムーズには進まず、「絵に描いた餅」になるのが見えているので、「ワンウェブ」救済に充てる資金は出せないというところに追い込まれたということではないかと思う。(ソフトバンクグループを細かく追っていないので、邪推かもしれないが。)
また、スペースXやアマゾンが同分野に参入してきて、競争的に厳しくなってきたという事情も、恐らくは関係しているのだろう。
なお、ソフトバンクグループは、シェアオフィスの「ウィーワーク」を展開する「ウィーカンパニー」救済に多額の資金を費やしてきたが、格付け大手のS&Pグローバル・レーティングスは23日に「ウィーカンパニー」の格付けを、「シングルBマイナス」から「トリプルCプラス」へと引き下げた。
この結果として「ウィーカンパニー」が発行する社債は暴落し、年利36%に達している。
ソフトバンクグループの出資企業には、これ以外にも採算性や将来性に疑問符がつく企業が多い。
ソフトバンクグループの経営的な厳しさは、さらに増したといえるだろう。
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ネタ元の日経新聞の記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57370820Y0A320C2000000/
画像も同上
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