中国では年に一度の「中央経済工作会議」が12月8日から10日の間で行われた。2021年の経済政策の総括と分析に基づき、2022年の経済政策の方向性を決める、中国共産党の重要会議である。
この会議では中国経済が1)需要の収縮、2)供給に対する打撃に見舞われ、3)先行きも不透明だという「三重圧力」に直面していることが取り上げられた。
経済は需要と供給からなるわけだが、需要もダメなら供給もダメであり、さらに先行きも厳しいということになると、全面的にダメということを認めたということになる。このこと自体が相当な異例のことだ。
来年秋の第20回党大会に向けて、習近平は自らの成果を大々的に打ち出したかったところだろうが、あまりのひどい経済状態に直面しては、その負のあり方を認めざるをえなくなったと見るべきである。
来年の経済工作については、「穏」を強調した。「穏」とは「安定」を意味するものだが、これを使う時には「不安定」な時であるのは間違いない。「財政出動強度を保証し、支出速度を加速する」として積極財政を打ち出しているのだが、積極財政を打ち出さないと「穏」に近づけない経済状態にあることを認めたとも言える。
先に行われた「六中全会」においては「歴史決議」が採択され、習近平中心体制が固まったと見られていたが、「中央経済工作会議」において習近平の経済政策についてこれだけ正面切った批判を許す形になったのは、あまりに激しい経済的な落ち込みに対しての反発が党内でも猛烈に高まっていることを示している。
「戦狼外交」を行なって国際的な孤立の道を選び、「第三次分配」を求めて民間企業から利益剰余金を召し上げ、「共同富裕」の名の下で「共同貧困」化路線を進め、「国進民退」と呼ばれる国有企業化の推進によって経済効率性がどんどん引き下げていることへの不満が、「中央経済工作会議」で表面化してきたと見るのが適切ではないだろうか。
私は拙著「それでも習近平が中国経済を崩壊させる」の中で、習近平がバブル潰しを始めてからその経済破壊力におののき、経済政策を緩める動きをするが、それでも塗炭の苦しみを味わうことになるとの見通しを示していたが、まさにその通りの動きが展開されているのである。
習近平体制は来年秋の党大会で終わりを迎える公算も高くなってきた。しっかりと注目しておきたい。
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