私は以前のブログで武漢市中心医院の救急救命科主任の艾芬(アイ・フェン)女医のことを取り上げたことがある。
彼女は、この新型コロナウイルスの中国国内の情報拡散の起点になった重要人物だ。
この件では、SNSに情報をアップして中国当局に拘束され、後にウイルスにかかって亡くなった李文亮医師のことが頭に浮かぶ人が多いと思うが、そもそもあの情報は彼女が李文亮氏を含む同僚医師に患者のウイルス報告書を写メして送ったのが発端だった。
李文亮医師が亡くなった後に、彼女は人民日報系の雑誌「人物」のインタビュー記事で事態の経緯を語った。
病院の党規律委員会に呼び出されて「デマをでっち上げた」と糾弾され、この肺炎のことについて「ご主人にも言ってはいけない」と口止めされたこと。
「防護服を着用すると社会不安を引き起こす」と病院の幹部に言われ、白衣の下に防護服を着て凌ぐこともやっていたこと。
目の前で倒れてそのまま死亡した人、やっと病院にたどり着いたがそのまま息を引き取った人、家族をICUに送ったまま二度とあえなくなった人などのことを思うと、艾芬氏は「時間を巻き戻せたら」と思うとも、記事の中で語っていた。
ネット上にも掲載された彼女のこの記事は、またたく間に10万回閲覧されて、相次いで転載されたが、掲載2時間後には削除され、転載を禁止された。
この艾芬氏が行方不明になってから既に2週間以上経過しており、「国境なき記者団」が中国当局に彼女の近況を明らかにするように求めていることがわかった。
中国のSNS「微博」では、彼女の投稿が更新されていて、いかにも自由に行動ができるかのようなビデオメッセージが残されているが、これを当人が行っているかどうかは疑わしいと見られている。
彼女以外にも、陳秋実氏、方斌氏、李沢華氏などの市民ジャーナリストが拘束されている。
中国当局に対して「国境なき記者団」は、彼女の状況について最大限の透明性を要求し、彼女が拘束されているのであれば、他に拘束されているジャーナリストたちも含めて即座に解放し、中国政府が秘匿している情報を開示するように求めた。
オーストラリアでは、テレビ番組の”60 Minutes”が、こうした話の詳細について報じている。
日本でこういう報道をするテレビ局は出てこないものだろうか。
何とも情けない。
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ネタ元の国境なき記者団の記事
https://rsf.org/en/news/whistleblowing-doctor-missing-after-criticizing-beijings-coronavirus-censorship
画像も同記事から
https://rsf.org/sites/default/files/styles/rsf_full/public/2020-04-10_rsf_china_ai_fen_coronavirus.png?itok=D2swluSN×tamp=1586513815
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