世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、22日の会合後に、中国の武漢市で発生した新型コロナウィルスによる肺炎について、「緊急事態」に相当するかの結論に至らなかったことを明らかにした。
「緊急事態宣言を行うかどうかの決定は、すべての証拠を適切に考慮して下す」とし、23日にも協議を継続することを述べた。
産経新聞の記事では、「緊急事態宣言をめぐっては、委員間で意見が分かれているとみられている」と記されているが、どこの委員がどういう意見を出して見解が分かれているのかが、全く見えない。
日本の報道だけでなく、海外の報道をみても、はっきりしたことは述べられていないことが多いが、いくつか拾ってみると、以下のような情報が集まった。
イギリスの調査チームは、海外への感染の広がりなどから、計算上は中国政府の発表のおよそ10倍に当たる4000人に感染者数が達していて、最大9700人の可能性もあるとした。
香港大学の調査チームはイギリスよりは控え目で、武漢で1343人、その他の中国都市で116人との推計値を公表しているが、これにしても中国の発表の4倍近い数字だ。
SARS感染が広がった当時、WHOのアジア地域報道官だったコーディングリ氏は、「中国政府が武漢肺炎の拡散に対して初めからウソをついていた」とし「SARS発生時と全く同じように無謀な行動を取っている」と、中国政府を非難している。
こうした実情を踏まえると、WHOの委員の意見が分かれているというのは、中国の委員と海外の委員の見解が分かれ、メンツを重んじる中国の委員が「緊急事態」宣言をこの段階で出すのに、強烈な抵抗をしたという推測ができる。
中国は、本日(1月23日)の日本時間の午前11時から、武漢から外部に向かう鉄道や飛行機の出発を禁止した。
おそらくは、この処置が、WTOの「緊急事態」に促されて取ったものだという形にはしたくなかったのだろう。
WHOの意見が分かれている中でも、中国としては独自にこうした手段を取って自発的に拡散を防ぐようにしたのだとし、その後にWHOが緊急事態を宣言するに至ったという建前がどうしても欲しかったのではないかと考えるのが妥当だと思われる。
ちなみに、アメリカで見つかった感染者は、ロボットが対応することにし、人から人への感染をできる限り防止しているようだ。
トランプ大統領は「われわれには計画があり、極めてうまく対処できるだろう。すでに極めてうまく対処している。CDC(米疾病対策センター)は素晴らしい」と述べていたが、こういう対応体制を整えているということだなと、感心した。
日本こそ、こういう点で先進的な対応ができるようになってもらいたい。
また、今回武漢市で行われたような交通制限処置などが緊急時に採用できるように、憲法に緊急事態条項を入れることもまじめに検討すべきだとも感じた。
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これの元ネタとなるガーディアンの記事
https://www.theguardian.com/science/2020/jan/22/coronavirus-who-steps-back-from-declaring-public-health-emergency
これの元ネタとなるサウスチャイナ・モーニング・ポストの記事
https://www.scmp.com/news/hong-kong/health-environment/article/3047022/wuhan-coronavirus-20-other-cities-china-affected
これの元ネタとなる産経新聞の記事
https://www.sankei.com/world/news/200123/wor2001230019-n1.html
これの元ネタとなる中央日報の記事
https://japanese.joins.com/JArticle/261809
これの元ネタとなる大紀元時報の記事
https://www.epochtimes.jp/p/2020/01/50943.html
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