日本銀行が11日に発表した10月の国内企業物価指数(昔の卸売物価指数)は前年同月比で8.0%の上昇となった。これは1981年1月以来の40年9か月ぶりの高さである。円ベースの輸入物価指数の上昇率は前年同月比38.0%に達し、過去最高水準だ。ここには当然円安も影響している。
特に川上にあたる素原材料(石油、石炭、鉄鋼、化学製品、非鉄金属など)は63.0%上昇となり、上昇幅は半端ではない。中間財の上昇率は14.3%、最終財は3.8%であり、上昇圧力を企業側がなるべく値上げせずに吸収していることがわかる。これは日本の消費者の需要力がまだまだ弱いために価格転嫁しにくいという事情がある。
この結果、消費者物価にはまだ一部の影響にとどまっているが、今後は徐々に広く影響してくるのは避けられない。
この企業物価指数、特に輸入物価指数の上昇は、コロナ禍の中で生産と流通が阻害されていることが原因である。
さらに中国経済の変調が大きく影響している。電力不足によって様々な物資が中国国内で順調には作れない状況となり、世界的に取り合いが始まっているからだ。
一例を挙げると、半導体の生産に使う黄燐の取り合いが始まっており、黄燐の価格が暴騰している。これも中国国内の生産が滞り、その結果中国は自国で必要な分まで輸入に頼るという流れになっているのである。この点については、韓国の尿素水の不足の件と併せて、私個人のYouTubeチャンネルでも解説したので、まだご覧になっていないようであればぜひ見てもらいたい。
実は今回の電力不足のさなかで、電力消費量が大きい割に付加価値が高くない分野を切り捨てる戦略を中国が一気に進めていることも影響しているのだ。世界の製造業の中でとりわけ大きな位置を占める中国がこんな方向転換を急激に進めたことで、世界経済を混乱に陥れているわけである。
中国は世界経済が混乱に陥ることを十分に理解しながら、このような処置を取っていると考えるべきであろう。
物流価格の上昇も大きな影響を与えている。船代の世界的な指標であるバルチック海運指数は1000程度が標準であるが、現在(11月13日)は3000程度となっている。10月8日には5500を超えていたから、これでも少しだけ落ち着いてきた感じだが、この「落ち着き」も中国の供給力低下が影響しているところもあるはずだ。
いずれにせよ、今後インフレが消費者物価をどんどん襲う事態になるのは避けられず、財政出動に圧力がかかることになるのが大いに懸念されるところだ。
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www.nikkei.comの記事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB114Y20R11C21A1000000/
企業物価指数の推移の画像
https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/11/20211111-OYT1I50079-1.jpg?type=x-large
材の種類ごとの価格変化の画像
https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO1259842011112021000000-1.jpg?ixlib=js-2.3.2&w=314&h=422&auto=format%2Ccompress&ch=Width%2CDPR&q=45&fit=crop&bg=FFFFFF&s=a4fb570bbc5bcc33c281f9bdf457cc9b
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