中国国際貿易促進委員会は、新型肺炎の流行の影響で、海外の取引先との契約を履行するのが困難になった国内企業に対し、不可抗力事態発生の証明書を発行すると発表した。
工場の操業停止が長引くなどで、外国に対して納期内に納品をすることができない企業が続出することが予想される。
こうした事態が発生した時に、本来であれば「契約不履行」ということで、損害賠償の対象となるわけだが、巨大な自然災害が発生したような時に、「契約不履行」を問題にするのは人道的にも過酷なので、免除しましょうという話だ。
中国側は、どこまでの範囲でこれをやろうとしているのかはわからないが、相当に大きな規模に拡張させるということもあるかもしれない。
工場の生産停止で、納期を少しくらい延長しても納品できる見通しが全く立たないので、違約金なしで契約を破棄させてもらいたいというレベルでとどまるなら、まだ理解はできる。
だが、例えば、中国企業側に既に納品したものに対して、代金が支払えないというところまで拡大するかもしれない。
外国から借りたお金が返済できないというところまで拡大するかもしれない。
厳密に言えば、問題となるのは損害賠償のところだけであり、債権債務の関係自体は建前上はなくならない。
債務の支払い義務は、その場で払えないとしても、継続することにはなる。
しかしそれは、事実上は債務不履行(デフォルト)を行ったのと同様の効果を持つことになる。
代金の回収ができなかった企業は、資金繰りに大いに困ることになる。
投資家も資金の回収目処が立たない事態に陥ることで、大混乱することになる。
つまり、普通に債務不履行(デフォルト)した場合と同様の影響があり、世界経済に対する影響は甚大なものになるわけだ。
中国が長期的な利益を重視するのであれば、「不可抗力証明書」を発行するようなことは、あるとしても限定的な範囲に限ることになるだろう。
そんなことを安直に乱発するような国との取引を継続したいと思う企業はないだろうから、中国離れを引き起こすことにつながるからだ。
だが、自国内の負担を外国に押し付けることで、とにかく今の巨大な負担を何とか軽くしたいというところに目が行くならば、これを思い切ってやってくることもありうるわけだ。
中国国際貿易促進委員会がどう動くつもりなのかについては、日本政府も警戒しておくべきだ。
安直な使い方をしないように圧力をかけておくことは必要である。
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ネタ元となるロイターの記事
https://jp.reuters.com/article/china-health-trade-idJPKBN1ZU0BZ
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