中国では財政危機が進行している。
李克強首相は5月に開かれた全国人民代表大会(全人代)の政府活動報告において、中央政府も必要ではない支出を50%削減しているから、地方政府も予算の削減を進めるようにと求めた。
7月23日の国務院(内閣)の会議においても再び、李克強首相は地方政府に対して、財政難に耐え倹約を習慣にするように求めた。
中国メディア「21世紀経済報道」によると、今年上半期の財政収入は、上海市がマイナス12.2%、北京市がマイナス11%となっている。
コロナウイルスで甚大な被害が生じた湖北省の財政収入はマイナス38%を超えている。
実際にはこうした建前よりもずっと厳しいのだろうと思うが、それはともかくとして、中央政府も地方政府も減った収入に合わせて歳出を削ることが求められているのは確かだ。
ただ、表の財政では緊縮傾向を強めながらも、実は裏の財政は拡大している。
地方政府は「融資平台」と呼ばれる投資会社を持っている。
地方政府本体とは建前上は別組織なので、会計上は表の財政に影響を与えない。
「融資平台」は金融機関や投資家からお金を集め、不動産投資・インフラ投資などに資金を振り向ける。
コロナ禍で沈んだ経済を上向かせるために、今年はこの「融資平台」を通じた投資が激増している。
2020年に入ってからの半年ほどの間で、「融資平台」が社債発行によって調達した資金は50兆円ほどになる。
つまり、このまま行けば、年間ベースで100兆円近い金額になりそうな勢いだ。
日本の公共投資(公的資本形成)は、中央政府・地方政府・公営企業を合わせて年間27兆円程度であるから、これと比較してもどれほど大きいかわかるだろう。
なお、現在「融資平台」が集める社債の金利は5〜10%程度とされ、そんな高いリターンが見込める投資があるとはとても思えない。
中国の大手格付け会社の中誠信国際信用評級によると、2019年末の地方政府の隠れ債務は43兆元(650兆円)ほどだとされている。
地方政府本体の公式な債務残高の24兆元(360兆円)と合わせると、日本円で1000兆円ほどになる。
そしてすでにぽつぽつ事故も起こっている。
例えば貴州省遵義市の「融資平台」が今年の3月に債務不履行を起こした。
遼寧省営口市の「融資平台」では、5億元の社債が5月に満期を迎えるのに、償還に充てられる現預金が4000万元しかないことが発覚した。
営口市の場合にはどこからか資金は調達できたようで、「無事」償還を迎えられた。
だが、救済資金の出どころはわかっていない。
習近平指導部は資金供給に万全を期すように求めていることから、こういう意向を汲んだ救済資金がどこからか提供されているのは間違いないが、行き詰まった「融資平台」全てを救済するのにこうした救済資金をあてがうことはできないだろう。
普通の資本主義国では到底認められない重債務をさらに拡大させながら、決定的な破綻を先延ばしにしているのが中国だ。
経済実勢を見るに、こうした経済のあり方が行き詰まりに近づいているのは確実である。
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