経済

国破れて山河なし! ソーラーパネルと風車の襲来!(松尾 利昭)


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今回の記事は「松尾利昭」さんの寄稿記事です。論拠がしっかりしていて、一方的な決めつけがなく、反対意見の人たちを罵倒するようなものでないといった基準に合致していれば、寄稿記事も歓迎しています。ぜひお読みください。

経済産業省は7月21日、国の中長期的なエネルギー政策の方向性を示すエネルギー基本計画の素案を有識者会議に示した。「2050年カーボンニュートラル」に向け、2030年度の電源構成を次のように変更した。

再生エ可能ネルギー 36~38%
火力発電 41%
原子力発電 20~22%
水素・アンモニア 1%

2019年の実績では「再生エ可能ネルギー」は18%だったから、今後10年弱でこの割合を2倍に引き上げることを目指すことになる。

「再生可能エネルギー」の中で、太陽光発電はすで世界第三位の規模まで拡大し、面積当たりの設備容量は世界一となっている。

国立環境研究所の気候変動適応センターと生態系環境研究センターは、国内にある500KWH以上の発電能力をもつ太陽光発電施設8725箇所をすべて地図データ化し、改変面積は229.211 km2に達していることを3月に明らかにした。その中には鳥獣保護区や国立公園など、自然環境の重要性が認識されている場所でも合計1,027箇所、約35 km2に達することも確認された。

7月にも太陽光発電の急速な普及が進む中、ここ数年斜面に設置された施設で土砂災害が相次いでいることがNHKで報じられた。

NHKは、国立環境研究所が航空写真などから割り出した発電出力500KWH以上の施設の位置データと土砂災害リスクの地図データを重ね合わせて分析した。その結果、対象ところなった9809箇所のうち、土砂災害が起きて住宅や公共施設などに被害を与える恐れのある「土砂災害危険箇所」と一部重なっていたのは、全体の一割を越える少なくとも1181箇所にのぼることがわかった。特に危険性の高い「土砂災害特別警戒区域」と重なっているところに限っても249か所にのぼる。専門家は「災害の危険性を評価する仕組みやリスクのある場所での設置を抑制する必要がある」と指摘している。

経済産業省が目指す「2030年度の電源構成」実現に向けて、さらに太陽光発電施設の大量導入を行なうと、国土は無惨に破壊されていくことになる。

風力発電についても問題が多い。秋田県は大型風車311基が沿岸部を中心に立ち並び、総出力64万KWHに上っている。県担当者によると、陸上適地は少なくなり、今後は洋上に可能性を求めることになるとのことである。

洋上計画公表後、住民は「秋田の海辺は風車だらけで心が休まらない」、「風車近くの住民は低周波音で健康を害した」などと反対運動が高まっている。漁業とのバッティングも問題となる。

しかも洋上風力は陸上風力の2〜3倍のコストがかかる。浅海が沖合まで続く欧州と違って、浅海が少ない日本では「着床式」風車は増やすにも限界がある。

他方、土台を海上に浮かせる「浮体」式洋上風力発電の技術開発はこれからである。

にも関わらず、経済産業省と国土交通省は現在2万KWHの洋上発電能力を、2040年に現在の2250倍の最大4500万KWHに引き上げることを決めた。これにより日本の近海は風車でうめ尽くされることになる。

太陽光や風力などの再生可能エネルギーは国土破壊に加えて、電力価格の高さが問題である。

経済産業省は2030年時点の電源別の統合的な発電コスト試算をまとめた。1KWH当たり発電コストは

天然ガス火力 11.2円
石炭火力 13.9円
原子力 14.4円
陸上風力 18.5円
太陽光 18.9円

この試算には発電所から基幹送電網につなげる費用は計上されていない。また風力は陸上風力に限られ、今後主力になる洋上風力のコストを計算していない。

菅首相は2035年に新車全ての電動化を行うと宣言したが、これが実現するためには電気代が安くなることが必要である。

日本自動車工業界の豊田会長(トヨタ自動車社長)は電動化への課題が大きいことを指摘しながら、「どんなに素晴らしいスペックであっても、一般の方の手に届かない高嶺の花にするということは、量産をベースにしている自動車業界として、やってはいけない」と述べている。

豊田会長(トヨタ自動車社長)はまた、現在EV一台の蓄電量が家一軒の一週間分の電力に相当することを指摘している。EV生産の完成検査時には一台一台全て充放電をして点検しなければならず、年50万台を生産する工場を稼働させた場合に、完成時点検だけで一日当たり5,000軒分の電気を充放電する必要が出てくることになるという。自宅のアンペア増設は一戸当たり10~20万円必要となる。全てを電動化したら、夏の発電ピーク時の発電能力を10~15%増やさなければ電力不足になり、急速充電器による充電インフラコストだけで14~37兆円かかると試算している。

脱炭素と安定した安い電力を確保するには原発の新増設しかないが、今の政府ではハードルが高い。原発ゼロを目指す政党との連立や、国民のことより海外の環境活動家の声が気になる閣僚の存在などである。

政府は10月にエネルギー基本計画の閣議決定を行い、11月英国で開催される予定のCOP26で日本の温暖化対策を世界に発信したい考えである。このまま流れが変わらなければ、非常に厳しいことになる。

しかしここで諦めては日本の将来はない。題名に示した通り「国破れて山河なし」となり、子や孫に申し訳ない。

スイスでは、2030年までに国の温室効果ガス排出量を1990年レベルの50%に削減するCO2法の改正が、国民投票によって否決された。日本もスイス国民を見習って、エネルギー基本計画を大幅に変えさせなければならない。
  
 
 
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2030年の電源構成の目標の画像
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太陽光発電施設建設で崩された山林の画像
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2030年の統合的な発電コストの画像
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