経済

20年前に接収した白人経営者の農地を返還へ! ジンバブエ!(朝香 豊)


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ジンバブエ政府が、20年前に接収した土地を、元の所有者である白人経営者らに返還するとの提案を行った。

「なんで20年も経つのに、今さらそんなことをするの?」という疑問は当然起こるだろうが、これはこの国の歴史を知らないとよくわからない。

ジンバブエは建国の当初から強力な指導者ムガベ氏とともに歩んできた国だ。

ムガベ氏はマルクス主義に傾倒し、中国共産党の軍事支援を受けながら、ジンバブエの独立に向かって動いていた。中国との強い関係は現在まで続いている。

それでもムガベ氏は独立当初は社会主義的な政策を引っ込めて白人との宥和政策を取り、経済を順調に伸ばしながら、その成果を教育と医療に当て、識字率の著しい向上と乳幼児死亡率の著しい低下をもたらすという、素晴らしい国家建設を示した。

このジンバブエの成功は「ジンバブエの奇跡」と呼ばれ、「アフリカでの黒人による国家建設のモデル」として称賛された。

だが、2000年に入ってからは、ムガベ氏はもともとの社会主義的な考えを実践するに至り、白人農場を強制収容して黒人農民に再分配する「ファスト・トラック」政策などを行った。

これにより、白人地主が持っていた農業技術や経営ノウハウが失われ、「アフリカの穀物庫」と呼ばれた豊かな穀倉地帯が消失した。

こうした農産物は貴重な外貨獲得源になっていたため、貴重は外貨減はジンバブエ経済を直撃した。

工業製品の輸入などが滞るようになり、諸産業の発展も阻害されるようになったのである。

欧米の経済制裁もジンバブエ経済を苦しめる要因になった。

欧米の圧力に反発して、ジンバブエは社会主義色をさらに強めて外資系企業に保有株式の過半数を譲渡させることにしたが、この結果外資系企業がほぼすべて撤退し、鉱工業や商業においても経営ノウハウなどが失われ、さらなる経済混乱に拍車をかけてしまった。

接収された鉱山

そしてこれが世界最悪とも言えるハイパーインフレーションにつながったのである。

2009年1月には年率換算で6.5×10の108乗%のハイパーインフレになったと言われている。(1日で物価が2倍になるイメージ)


あまりに激しいインフレのために、ジンバブエ政府は自国で流通させる通貨を、ジンバブエドルから米ドルに切り替えるという奥の手を使った。一時期は日本円も法定通貨のうちの1つとして選ばれた時もある。現在はRTGSドル(新ジンバブエドル)という新たな通貨を発行し、これを法定通貨としている。

長期間続いたムガベ独裁政権は2017年に軍事クーデターで崩壊したが、その後の経済もひどい状態が続いている。

かつてほどではないとしても、激しいインフレが襲っており、商品を手にとってレジに行くまでに値段が変わることがあるのは相変わらずだ。

停電は1日18時間だとも言われている。

さて、この経済の苦境はどこから始まったのか。

それは白人の土地を強制収容したところからである。

ならば、社会主義的な政策運営の失敗を認め、白人の大規模農業経営に戻したほうがいいとの判断に至ったわけだ。

いろいろと考えさせてくれるジンバブエの歴史である。
 
 

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Economics Helpからの引用画像(ジンバブエのハイパーインフレーション)
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Black Agenda Reportからの引用画像(ジンバブエで起きたクーデター)
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