アメリカの国家安全保障局(NSA)は、FBIが行っている1万6000人のアメリカ国民に対する違法なスパイ行為に関する記録を、情報公開法によって公開することに同意した。
これはタイ・クリーベンジャーという弁護士がもともと請求していたものだが、今年の3月5日にNSAはこの請求を一旦却下していた。これに対してクリーベンジャー弁護士が不服申立てを行っていたのだが、今度は一転して請求を認める判断に変わったということになる。
なお、クリーベンジャー弁護士はFBIに対しても同様の請求を行っていたが、こちらは2月3日に却下されていた。却下理由には、どの個人の何についてであるかが特定できるように、完全な本名、生年月日、出生地、死亡日、死亡場所、どのような事件に関してかという具体性がないと受け付けられないと書かれていた。クリーベンジャー弁護士は数多くの一般のアメリカ国民に対してFBIが不当にアクセスしているのではないかということを問題視しているので、特定の個人の特定の事案についてしか答えないとされると、元々求めていることが違うということになる。
一見ではFBIの却下理由にはそれなりの合理性があり、クリーベンジャー弁護士の請求が無理筋のようにさえ感じるかもしれない。だが、過去にFBIが行った事案を知れば、恐らく認識が変わるのではないかと思う。FBIは捜査の必要があればNSAのデータベースにアクセスすることができるが、過去にFBIはNSAのデータベースへの不正アクセスが発覚し、2016年にNSAはFBIのアクセスを遮断しようとしたことがあるのだ。
当時共和党の大統領候補であったトランプを陥れるために作られた、いわゆる「スティール文書」には、トランプの顧問弁護士だったマイケル・コーエンがプラハに飛んだことを前提にして話が組み立てられていた。この情報の出処がNSAのデータベースであり、FBIがアクセスした結果なのである。ただし間抜けなことに、FBIはNSAのデータベースにアクセスする際に別人のマイケル・コーエンの情報を拾ってしまい、この誤情報に基づいて文書が作られていた。つまりプラハに飛んだのは別人のマイケル・コーエンであり、トランプの顧問弁護士だったマイケル・コーエンではなかったのだ。マイケル・コーエン弁護士が、自分がプラハに飛んだことはないと主張し、それが即座にはっきりしたために、「スティール文書」はすぐに怪文書扱いになったのだが、もし本物のマイケル・コーエンの行動記録を拾っていたら、「スティール文書」の「信頼性」は格段に高まっていただろう。この誤情報はFBIから民主党と深い関係を持つ調査会社「フュージョンGPS」を経由して、「スティール文書」の作成者であるクリストファー・スティールにもたらされたと推定されている。
NSAはこうした点でFBIに対する不信感を持っており、今回の情報公開決定にはこれが影響していると思われる。
NSAがどの程度の情報公開をするのかはまだわからないが、内容次第ではアメリカの政治に地殻変動をもたらす恐れもあるだけに、今後も要注目である。
無料のメルマガの登録をぜひともお願いしたい。(このブログ記事の下↓に登録フォームあり)
※ 日本再興のために、以下のバナーをポチッとしていただけると助かります。
lawflog.comの記事
https://lawflog.com/?p=2492&page=2
タイ・クリーベンジャー弁護士の画像
https://dmn-dallas-news-prod.cdn.arcpublishing.com/resizer/7cu_qeBnfI3Ds82IOaq2yCns-6U=/1660×934/smart/filters:no_upscale()/arc-anglerfish-arc2-prod-dmn.s3.amazonaws.com/public/GJLVBWCDMWX4WMO7WVTW2DQJDE.jpg
無料メルマガ
最新情報やプレゼント特典などをメール配信しています!メルマガでのみ公開しているネタあり!今すぐ無料登録しましょう!