EU、イギリス、カナダの3カ国は、ウイグルにおける人権弾圧への制裁として、新疆ウイグル自治区の公安のトップである陳明国氏ら4人と新疆生産建設兵団公安局の1団体に対して、資産凍結と渡航禁止、取引禁止の処置を取った。この制裁は中国側にとってほとんど影響を与えない。資産凍結といっても、EU、イギリス、カナダには恐らく資産は持っていないだろうし、穿った見方をすれば、事前に保有資産がないことを確認した上で「制裁対象」として選んだ可能性すらある。アメリカはさらに緩く、制裁対象を陳明国氏ら2人のみに絞っている。
これに対する対抗処置として、中国は「中国への制裁は受け入れられず、重大な結果をもたらすだろう」と述べ、欧州議員ら10人の個人とEU関連の4団体に中国への渡航を禁じた。こちらもおそらくは実質的な影響はない「制裁」なのだろうが、それでも中国は大きな過ちを犯したことになる。EU側からの制裁は4人と1団体であったのに、中国側からの制裁は10人と4団体に膨れ上がり、明らかに過剰反応である。そして自分たちのメンツを守るために「重大な結果をもたらすだろう」という居丈高な姿勢を見せて、多くの反感を買ったからだ。
中国とのEUとの間では昨年(2020年)末に包括投資協定の合意ができ、現在欧州議会では同協定の審議が進んでいる。だが、中国側の上から目線と過剰反応によって、議会は同協定の批准を行わない可能性も出てきた。中国が制裁を加えた団体の中には欧州議会人権小委員会も含まれており、欧州議会の態度の硬化はこの点でも避けられない。欧州議会の第2会派である欧州社会・進歩連盟(S&D、中道左派)は「投資協定の議論を始めるには欧州議員への制裁解除が条件だ」との声明を発表したが、「メンツ」にこだわる習近平路線の中国が制裁解除に応じることは考えられない。
中国の傲慢な態度はこれだけではない。例えばフランスの議員団が台湾を訪問する計画を立てていることについて、中国政府はフランスへの脅迫とも取れるレベルで妨害をしている。シンクタンク「戦略研究財団」の研究員で中国研究を専門とするボンダス氏が、中国の台湾政策に批判的なコメントをしたところ、在仏中国大使館は同氏を「チンピラ」で「狂ったハイエナ」だと罵った。フランスのルドリアン外相はこうした個人攻撃は受け入れられないとして、中国の駐仏大使を呼び出したが、同大使はこれに応じなかった。フランスのボーヌ欧州問題担当相は中国の常軌を逸した言動に対して「フランスも欧州も黙っていない」と語った。
こうなると、EU側は対中制裁を強化せざるをえなくなるだろう。この問題とは直接関係しないアメリカのバイデン政権にしても、本音では中国とうまくやりたいと思っても、なかなかできない状態になっていく。習近平路線の中で、中国は自滅に向かって動いていると言えるだろう。
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