新型コロナウイルスについて、京都大学大学院の上久保教授が「日本では集団免疫がすでに達成されている」との見解を出して、話題を集めている。
私が上久保教授の見解を知ったのは、7月下旬発売のWiLL9月号に掲載された「新型コロナ 第二波はこない」と題した、上久保教授と小川榮太郎氏との対談を見たことからだった。
非常に興味深い説であるので、この場で簡単に紹介したい。
上久保教授は、新型コロナウイルスの中で最も弱毒なS型や、これよりやや毒性は強いが普通の風邪程度の症状を引き起こすK型が、知らないうちに日本に入ってきていて日本人の過半に感染が広がっていたのではないかと考えている。
その証拠として、日本で今冬にインフルエンザが流行しなかったことを挙げている。
ウイルスに感染すると、ウイルスをやっつけようとしてサイトカインというものが放出される。
日本の場合にはS型やK型のコロナウイルスの感染によってサイトカインがすでに放出されていたために、インフルエンザウイルスが体内に入ってきても、このサイトカインによって迎撃されていて、結果としてインフルエンザも流行しなかったのではないかというのである。
実際、今冬のインフルエンザの流行曲線を見ると、12月23日にインフルエンザの立ち上がりに一旦ブレーキがかかり、その後1月13日から再びブレーキがかかって、以降感染が急激に抑え込まれている。
これは、12月23日にはS型の感染が広がり、1月13日にはK型の感染が広がった証拠であると、上久保教授は指摘する。
このS型とK型において、免疫的に決定的に重要なのはK型であると、上久保教授は指摘する。S型はあまりに弱毒過ぎてT細胞免疫ができないが、K型はT細胞免疫を強く活性化させるだけの力があるからだ。
武漢で大量死を引き起こしたのはS型やK型とはまた構造の違うG型のコロナウイルスで、これは毒性の強いものであるが、日本ではK型の感染がすでに広がって新型コロナウイルスに対する免疫ができていたために、このG型があまり大きな力を振るわなかった。そしてK型G型の感染ですでに日本人全体の8割5分程度まで感染が済んでおり、新たな型が日本に流入してきても、日本国内で重篤な影響を引き起こす余地は事実上ないと考えているわけである。
これに対して欧米では、K型が蔓延していない中でいきなりG型が広がったために、日本とは比べ物にならない死亡率に至ったとされる。
さて、こうした上久保教授の説の妥当性を判断できる能力は私にはないが、日本政府には日本人の中にT細胞免疫がどのくらい広がっているのかの検査を行ってもらいたいものだ。(なお、T細胞免疫は抗体を作り出すB細胞免疫とは別である。)
下の方に上久保教授の見解を松田学氏が詳しく尋ねていく動画を載せておいたので、時間があるならこちらも参考にしてもらいたい。
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上久保教授の解説動画
YouTubeのサムネイルからの引用画像(上久保教授)
https://i.ytimg.com/vi/hF0HBmIFWMs/maxresdefault.jpg
Facebookからの引用画像(小川榮太郎氏)
https://scontent-nrt1-1.xx.fbcdn.net/v/t1.0-9/23231245_1249694221842865_3419108429724323484_n.jpg?_nc_cat=111&_nc_sid=6e5ad9&_nc_ohc=WpBvnaJpZ9AAX-X6Trr&_nc_ht=scontent-nrt1-1.xx&oh=73e77474f590619a9289362facb5d812&oe=5F4DD619
朝日新聞からの引用画像(インフルエンザの流行曲線)
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20200423000758_comm.jpg
東京ミッドタウンクリニックからの引用画像(S型K型G型)
https://www.tokyomidtown-mc.jp/blog/8398826a9223fd2305e0581e8bd47a6f2ffcb05f.png
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