北京オリンピックのボイコットについて、西側政府の腰はまだまだ重い。この中で、ウイグルや香港での中国政府のあまりに理不尽な行動に対して声を上げる動きが、人権団体などから広がっている。特に注目したいのは、北京オリンピックの協賛企業に対する圧力だ。
国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウオッチは、国際オリンピック委員会(IOC)の最高位スポンサーとして北京オリンピックを支える13社を対象に、計画を見直すかどうかを尋ねる書簡を送った。だが、このうち11社は回答を拒否した。
この11社は、コカ・コーラ、エアビーアンドビー、パナソニック、トヨタ自動車、サムスン電子などである。
回答を行った2社はドイツ保険大手のアリアンツとスイスの高級時計のオメガである。アリアンツは、「人権に関して異なる見解」を持つ国で同社が存在感を示すことにより「繁栄と安全」に貢献できるというキレイごとを述べた。また、オメガもオリンピックの公式タイムキーパーとしての伝統的な役割と選手の支援に重点を置くとして、やはり支援を取りやめる気がないことを示した。
支援を取りやめれば、当然ながら中国政府による報復に遭うことになる。それを恐れれば、支援を取りやめると表明できないのは、企業としては当然の行動だともいえる。
だが、協賛企業に対するボイコット運動が展開され、これが西側においてかなりの規模になってくると、協賛企業の姿勢も変化してくることも考えられる。
例えばコカ・コーラ製品の購入をやめる運動が広がり、コカ・コーラの売上が減り、企業イメージも大きく傷つくことになれば、コカ・コーラは支援企業から撤退することで名誉回復を図ろうとするところに追い込まれるかもしれない。
なお、13社以外にもあと2社、中国以外の企業で中国政府と個別にスポンサー契約を結んだところがある。そのうちの1社は「m&m’s」とか「スニッカーズ」などで知られるマースリグレーである。
マースリグレーは「何十億もの人々とそのペットが健康で幸せな生活を送ることができるよう」にするために「地球と人々にプラスの影響を与えることにも焦点を当て」ていることを打ち出している。さらに奴隷労働については「どんな形での強制労働も自分たちの活動とサプライチェーンには居場所がなく、奴隷労働という複雑な問題については、企業と政府と市民社会が力を合わせて前進させなくてはならない」との立場を公式に表明している。そして強制労働に取り組む自分たちの努力が、自分たちの世界的な人権戦略の核心部分であると謳っている。
にもかかわらず、マースリグレーに北京オリンピックの協賛に関する書簡を送った200余りの人権団体のいずれに対しても、マースリグレーは返答していない。
マースリグレーの姿勢を問題視して、その製品をボイコットする運動が西側で広がることは、今後の展開として当然に予想される。
コカ・コーラとマースリグレーのどちらかだけでも北京オリンピックへの協賛取りやめに動いたとしたら、それは他の協賛企業を動かす玉突きの最初になる可能性がある。
少なくとも西側政府の北京オリンピックボイコットの動きを大きく促す効果が期待できる。
西側でのボイコット運動の広がりと、代替地開催への要求が強まれば、IOCとしても何らかの動きを強いられることになるだろう。
この北京オリンピックのボイコットの動きがどういう結果になるかは、中国の暴政に対する今後の世界の取り組み姿勢がどうなるかの試金石となるのは間違いない。
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北京オリンピックボイコットの画像
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