中国海軍艦艇とロシア海軍艦艇合計10隻が同時に津軽海峡を通過した。これは津軽海峡が国際海峡に指定されており、「無害通航」が認められていることによる処置である。
この「無害通航」を認めるために、日本は通常では領海12海里となるところを、3海里に限定する制限処置を自らに課している。これにより海峡の中央部に「公海」が生じ、ここを中国軍、ロシア軍は「無害通航」したというわけである。
不可解なのは、商船等の自由な航行を保障するだけであれば、何も「公海」を作り出す特別な処置を行う必要はない。一般商船などに対しては領海内で認められる無害通航権でも十分なはずである。「公海」にするかどうかで無害通航が問題になるのは軍艦に限られるからである。
ではなぜこうした処置がとられているのか。この「無害通航」が認められているのは、日本が「非核三原則」を採用していることと関係しているとされる。すなわち、核搭載の米軍艦が通過する際に支障にならないようにしている処置だというのである。
だが、同盟国の核搭載艦が領海内を通過したところで、それが「非核三原則」の「持ち込ませず」に抵触するというのはあまりに非現実的な理屈ではないだろうか。
法的に厳密に考えたというよりは、政府部内にいるリベラル派がこうした難癖をつけ、この結果として日本の国防体制が弱体化させられてきたというのが恐らく正解だろう。
2017年の話だが、中国海軍の情報収集艦が津軽海峡を「無害通航」したことがある。この時日本政府は「『無害でない航行』と認められる行為を行った確定的な情報がない」として、この通航を黙認した。海上自衛隊が航行目的などを無線で問い合わせたのに対し、中国艦からは「国際法にのっとって航行している」との回答があったので問題ないというわけである。
さて、中国、ロシアの悪用が目立つ中で、岸田内閣はどのような対応を取るべきであろうか。
私はこの問題を選挙の争点として訴え、領海法改正を1つの選挙の争点にすることを提案したい。すなわち、少なくとも津軽海峡と大隈海峡(九州本島と種子島、屋久島との間)の2海峡については、従来の領海3海里をやめて原則通り12海里にし、同盟国であるアメリカの艦船については日米の取り決めで対処するようにすると主張すればいい。
こうした「軍事」ネタには条件反射のように共産党、立憲民主党が激しく反応するだろうが、これが選挙の争点になることはむしろ大歓迎だろう。どうしてそこまで中国やロシアの味方をするのかと攻撃すれば、国民の支持は自然と自民党側に集まることになる。
自民党側のこうした主張に対して、連立与党の公明党は対処に困るだろうが、親中姿勢を示すと国民の猛反発を受けることが容易に想像できることからすると、恐らく自民党の主張を黙認する姿勢に転じることになるだろう。
公明党には敢えて事前通告に近い形で伝えるだけにし、岸田総理には強いリーダーシップを発揮してこの主張を行っていただきたい。公明党に「事前協議がなかったのは遺憾」という言い訳をさせてあげられるようにするのが、「大人の知恵」というものではないだろうか。
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toyokeizai.netの記事
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中国、ロシア艦艇の津軽海峡通過の画像
https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/10/20211019-OYT1I50021-1.jpg?type=large
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