安全保障

イギリス・イタリアはファーウェイ排除! だがドイツは逆走へ!(朝香 豊)


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イギリスが5G向けの設備導入で、中国のファーウェイ製品を排除することを決めたことが大々的に報じられたが、イタリアの通信大手の「テレコム・イタリア」も今月実施予定の入札からファーウェイを排除することを決めた。

同社はイタリアとブラジルで事業を展開しているが、少なくともイタリアではファーウェイが入札に復活することはないという。

ヨーロッパ内では経済力が弱く、中国からの投資に依存してきたイタリアでこのような動きが出ていることは大歓迎だ。

一方、こうした中で逆方向の動きを見せたのがドイツだ。

ドイツの通信大手の「ドイツテレコム」は、アメリカ製部品を含まない製品を多く採用することで、ファーウェイとの関係を逆に強める道を選んだ。

5G通信網においてドイツ国内で優位に立てるよう、ファーウェイに技術的な協力を依頼したとも伝えられている。

この「ドイツテレコム」の決定はあまりに不可解である。

というのは、「ドイツテレコム」はアメリカの携帯電話会社の「T-モバイル」を所有しているからだ。

「T-モバイル」はアメリカの通信会社であり、「ドイツテレコム」はその関連企業である。

アメリカの「国防権限法」では、関連会社を含めてファーウェイの排除を求めているので、「T-モバイル」の機器にのみファーウェイを使わなければいいということにはならない。

昨年(2019年)5月に5Gに関する「プラハ会議」が開かれた。

同会議には、ユーロ圏諸国に加えて、アメリカ、イギリス、日本、オーストラリア、韓国なども参加した。

当然、ドイツも参加している。

5G通信網には高度なセキュリティが必要で、それは第三国に与える影響も考慮すべきだという「プラハ提案」が採択された。

同提案には拘束力はないということにはなってはいるが、それにしてもドイツが真逆の動きを示したのは驚きだ。

この「プラハ提案」とアメリカの「国防権限法」の運用を考えた場合に、「ドイツテレコム」がファーウェイとの関係を深めたのは、アメリカの本気度を読み間違えたのだろうか。

そもそも、5G網へのファーウェイ参加については、ドイツ国内でも反対論は強い。

メルケル首相の出身母体の与党キリスト教民主同盟(CDU)でも、5Gから事実上ファーウェイを排除する決議が採択されているし、CDUの連立パートナーである社会民主党(SPD)もファーウェイ反対の姿勢を示している。

西側の民主主義政党としては当然であろう。

それでもメルケル政権は中独の経済関係の深さを重視し、「中国を脅威と見なすことには反対する」との姿勢を示してきた。

メルケル首相は「民主主義の守護神」を自認していたはずだが、中国の人権問題には不思議と口を閉ざしてきた。

香港の国家安全維持法の制定にあたっても、中国に対して「相互の信頼関係に基づいた対話を求める」と述べるにとどまった。

自分はメルケル首相は対中関係でドイツを矢面に立たせたくないために、表面的には中国を刺激しない姿勢を取っているのではないかと思っていたが、この展開を見ていると、事情はちょっと違うようだ。

メルケル首相をどう翻意させて西側の結束を固めるかは、西側陣営の大きな課題になっていると言えるだろう。

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